When you wish upon うた

歌に願いを

2020年上半期リリース楽曲 私的10選

 

 こんばんは。ちえぴです。

 

 はてなブログ上で、上半期楽曲10選を記したたくさんのブログを拝見いたしまして、ぜひ私も!と思い、久しぶりの更新です。

 

 既にはてブの特集で挙げられている楽曲を、私から再プッシュしたいという気持ちも大きく、ご紹介差し上げる10曲のうち3曲ぐらいははてブ公式さんのまとめと被っています。この3曲は元々私もクソデカい声でもって”マジでいい曲”であることを散々叫んできてはいたのですが、改めてそこが伝わればいいなと思います。

 

 アイドル楽曲から洋楽まで、この半年間で配信されてきたSpotifyのNew Releaseプレイリストの中でも、僕の心に刺さった10曲を厳選しました。ぜひ見て、聴いてください。

 

 こういう引用の場合の通例がわからないのですが ■歌手: 曲名 という形で掲げていきます。 では、やっていきましょう!

 

おしながき 

 

 

 

 

 

手羽先センセーション: 『ハロー・ブランニューミー』

 

 

 過去の記事でも紹介していますが、この上半期にリリースされたアイドル楽曲のなかで、他を寄せ付つけない眩しさをもって輝いていました。予見したとおり、やはり(僕のなかで)最強だったと思います。

 

 ちょうどこの曲がリリースされた頃は、コロナウィルス感染症で社会が混乱の入り口に立ったときだったと記憶しています。漠然とした不安が漂う中で「壁を乗り越えていこう」とする姿勢、自分の殻を破っていこうとする力を楽曲それ自体から感じることのできる、今聴くべきアイドリッシュな曲だと感じます。

 

 「さっきの女の子、」の『のいつも通り』と、この曲とで、どちらを挙げるかとても迷いました。前者はアイドル楽曲としてはかなりの変化球なので、「最強」とするのであれば王道楽曲であろうこちらが適任だろうと考え、選出しました。

 

 

 

 

 

緑黄色社会: 『Mela!』

 

 

 星野源やWANIMA以降、今J-POPで流行のBPM早め+元気はつらつ、という曲調を「緑黄色社会」がやったらこうなります!!と全力でぶつけてきてくれました。

 

 なんとなく某ジャンプ漫画を意識したような歌詞ですが、そういう印象を振り払って更にすばらしい物語を紡いでくれている高いクオリティのMVも必見です。サムネイルがド派手なネタバレになってしまっていますが、この絵が出てくる頃には胸いっぱいの愛が溢れていると思います。

 

 ただ元気!ってだけじゃないんですよね。ポイントは「自分はハチャメチャにちっぽけで、だけど……!」という「弱い自分に打ち勝っていく」ニュアンスが感じられつつも、心のうちに秘めた「誰かのためになりたい」という力強い意志・エネルギーを与えてくれるところだと思います。ちょっと斜めに倒れそうになる身体と心を支えてくれる、そういう曲ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

■Jacob Collier: 『All I Need (with Mahalia & Ty Dolla $ign)』

 

 

 Jacob Collierについて、私は今年に入るまで存じ上げなかったのですが、この人が作る音楽をなんと形容すべきかと問われたら、真っ先に思い浮かぶのは「宇宙」という言葉です。毎週Spotify New Releaseプレイリストを掘り漁るのが楽しみなのですが、たしかこの1曲が入っていた週は、他の曲を聴くのをやめました。それほど常軌を逸していると感じます、天才です。文句のつけようがありません。

 

 もしも音楽が「身体」を持っていたとしたら、Collierにはきっとそれを形作る前から完成した姿が想像できているのだろうと思います。どんな音で、どういう言葉の発音で、どんなリズムで、どういうコードの展開で、ということが、全て彼の手のひらの上にあるかのような楽曲です。

 

 その圧倒的な神性を裏付けるかのような演奏技術もCollierの魅力です。このMVからはあまり見ることができませんが、他の各種MVからは、彼ひとりでピアノ、ベース、パーカッション・・・・・・さまざまな楽器をプレイできるマルチな才能を垣間見ることができます。YouTube上にアップロードされているライブ映像も圧巻です。今ポップミュージックの宇宙を感じるなら、Jacob Collierです。

 

 

 

 

 

月ノ美兎: 『アンチグラビティ・ガール』

 

 

 ところで宇宙というものはだだっ広いらしいですね。けれども無重力だから、地に足なんか付きやしない。ひとりの力では呼吸すらもままならず、人類の英知をかき集めてやっとのことで二足歩行できるわけです。同じようにVtuberというものは、インターネッツブルーオーシャンながらも、実体や具体的なエコシステムを伴わない、フワフワしたものだと思っていました。月ノ美兎さんに出会うまでは

 

 実際のところ私は、彼女がこれまでたどってきた軌跡についてはその半分も知らないのです。ただはっきりしているのは、さまざまな重圧がのしかかっていた彼女が、Vtuberという仕事を「自分の天職だと思う」と名言していることで、それまでの紆余曲折あったであろう彼女の経験すべてが「今」「ここ」の活動に結集していることを示唆するかのような楽曲がこの世に生まれ落ちたということです。いえ、彼女自身が自らの経験と叡智を集結させようとしているのです。「今までのすべてを笑っていたい」という生きる希望に満ちた真っ直ぐな歌声は、月ノ美兎の過去と未来だけでなく、彼女の人間性をリアルに映し出してくれています。

 

 楽曲自体もAメロから独特の区切りやリズムで浮遊感を演出してくれています。謎の感動とでも言うべき終盤のリプライズでは超自然的な涙が溢れてきます。B級のドリームと人は笑うかもしれないけれども、そういう"圧"を跳ね除けて、月ノ美兎さんが前人未到で前代未聞の<存在=アイドル>になってくれると、私は信じてやみません。

 

 

 

 


■JP Cooper: 『Bits and Pieces』

 

 

  私がJP Cooperについて事細かに語るよりも、レーベルが掲出している彼のBioを読んだほうが、よっぽどためになるでしょう。とにかく信じがたいのは、一度聴いたら忘れないだろうたぐいまれな彼のボイスで、それも専門的な教育を受けることのなかった天性であるということです。

 

 朽ち果てそうになったときに、天から降り注いでくる一筋の光。そういう類の、灯火にも似たエネルギーを持った曲だと思います。やがて集まっていく光が見せてくれる景色を教えてくれない、というのもこの曲が持つニクいところです。 

 

 Spotifyで最初に聴いて、ゴスペル的な要素とポップスが上手に絡み合った名曲だと思っていたのですが、ここで紹介するためにYouTubeの公式動画をはじめてみたとき、低評価の数に驚きました。なぜにこれほど低評価が多いのか理解に苦しんでいました。が、それについて"underrated"と語るコメントたちも多数見受けられたので、ちょっと安心。

 

 

 

 


■ゆうらん船: 『鉛の飛行船』

 

 

 最初に聴いたとき、衝撃的で、とにかく聴き手を集中させるのがめちゃくちゃ上手だと思いました。語るよりも聴いていただいた方が早いところはあるんですが、瓦解しそうで脆そうなんだけれども、どこか安心感や懐かしさを感じる曲だと思いませんか。

 

 それはまるで、まだ自分が小さかった頃の記憶に近い感覚です。ほぼ日が沈んだ薄赤暗い住宅街を、とぼとぼと歩き、近所の家から香る食事の匂いから夕飯に思いを馳せる……なぜだかわかりませんが、そういう経験を彷彿とさせます。

 

 そういう大衆的な感覚を呼び覚ましてくれるのですが、音楽的にはぜんぜんオーソドックスではなくポップスとしてはとても実験的で、めちゃくちゃおもしろい楽曲だと思います。まだ無名っぽくて、YouTubeの公式chの登録者数も272人と少ないため、ぜひ登録してあげてください。 

 

 

 

 


■シャイニーカラーズ: 『シャイノグラフィ』

 

 

 皆さんはアイドルマスター シャイニーカラーズをプレイしていますか?この項までたどり着いた皆さんは、今すぐ無料登録してプレイしてください。シャイノグラフィについて語るのはそれからにします。公式YouTubeチャンネルの登録者数が10万人を突破した今なら10連ガシャが毎日無料ですから、始めどきです。

 

 こういう狂信的オタク態度をとると、すぐ後退りする方がいらっしゃいますね。そう、そこのアナタです。貴方をこの項に引き止めるために、この曲の素晴らしさを端的に説明しましょう。たとえば、未熟だった雛が成長して今まさにこれから飛び立とうとする姿はいつ見ても情動を揺さぶられるでしょう。これです。シャイノグラフィが伝えてくれるのは、この美しさです。

 

 この曲の歌詞がいかにエモいかというのは、演者(声優)の皆さんやプロデューサーの同僚の皆さんがこれでもかと語ってくれていますので、私からはインスト面で好きなポイントをひとつ上げます。1度目のサビに入ったときのドラム。今まさに駆け出してく、という疾走感がここに集約されていますし、この楽曲がコンテンツの2年目に投入されたという事実もまた、アイドルたちが描く軌跡と情景をより一層強固な印象へと仕立ててくれます。15周年を迎えたアイマスコンテンツのなかでも、ひときわ大きな人気の旋風を巻き起こすが約束されているシャイニーカラーズの活躍をぜひその目で確かめてください。

 

 

 

 


■VIZE, Tom Gregory: 『Never Let Me Down』

 

 

 一時期、一世を風靡していた(と勝手に思っている)Meduzaの『Piece Of Your Heart』を彷彿とさせる声ネタ感とローが効いているシンセベースが大好きです。どちらもデカい箱で聴いたら全員ブチ上がり間違いなしの良質なクラブサウンドですが、どちらかというとこの『Never Let Me Down』の方が今のEDMシーンをよく表していると思います。

 

 このMVの冒頭でも名言されていますが、ロックダウン下の街で製作されたということで、そういう制約の中でも音楽やパーティの火を絶やさないようにしたいという意志を感じますね。いつかまたサマソニやSONIC MANIAのようなイベントに足を運べるようになればいいな、と思うばかりです。

 

 

 

 

 

 

King Gnu: 『Teenager Forever』

 

 

 最初に『Player X』などを引っさげてポップスシーンに登場してきた彼らに対して、私はずいぶんと斜に構えて聴いていたのですが、いわゆるトーンクラスタみたいな音の重ね方だったり、異次元の進行だったり、ボーカルの高低さを利用した印象の与え方だったり、楽曲それ自体の構成だったり……リリースするたびに挙げたらキリがないほどの魅力があることに気付かされてきました、King Gnu

 

 何より強烈だと思うのは、それらが唯一無二で、どんなジャンルだろうと聴いたらすぐに「これはKing Gnuだよね」とわかることでしょう。商業音楽という戦国の舞台を生き残るために必要なピースがすべてここに集まっているかのようにすら思えます。中でも、この『Teenager Forever』は、いわゆる10代の象徴としてよく掲げられる透明にも似た青春感とはまた別の、有り余ってほとばしる熱情を表現していると思います。King Gnuの楽曲のなかで、一番好きな曲です。

 

 

 

 


■藤井風: 『帰ろう』

 

 

 King Gnuと同じくJ-POP界に彗星のごとく現れた、と思っていたのですが、この藤井風という青年の活動はYouTubeでの活動が原点でした。ほぼ独学というピアノ弾き語りのポップスアレンジ動画で人気を博し、多様なジャンルのエッセンスを多分に含んだ自作の楽曲とともに、今年メジャーデビューを果たしました

 

 あえてチープに例えるなら宇多田ヒカル以来の才能でしょう。日本語詩では到底不可能だと思われていた領域のレベルで現代的なリズムを刻み、古きと新しきを兼ね備えた音楽性とその歌唱センスには脱帽しかありません。これ以上聴いていると余計にハゲます。ほんとにゴーストライターいないの?すごすぎる。音楽をやめたくなる。助けてくれ。

 

 本来であれば、彼の代表曲である『何なんw』を紹介するべきなのでしょうが、今年1月に公開されてまもなく500万という再生回数に辿り着く楽曲を改めて紹介する必要があるかと問われたら、私はNOと答えるでしょう。ということで、同楽曲の収録されたアルバム「HELP EVER HURT NEVER」の締めにあたるこの『帰ろう』を選んできました。小気味の良さばかりが注目されがちな彼ですが、この『帰ろう』からは圧倒的な自力を感じます。非常にアコースティックな編成――わずかなパーカッションと自分の声、それにピアノとストリングスで、ここまで進行力を作れるのかと驚愕し、サビの開放感・美しさに何度瞳を潤わせたことか。特にこの曲はできるだけ大きなスピーカーで聴いてほしいです。完全に私見ですが、当分はKing Gnuと藤井風が日本の音楽シーンを牽引するだろうと見ています。

 

 

 

 

 

 

 以上ごった煮の10曲、いかがだったでしょうか。最近は忙しくてNew Releaseのすべてを追えてはいないのですが、これからも新しい曲にたくさん出会えたらなと思います。Spotifyに感謝。