When you wish upon うた

歌に願いを

『行く先、手羽先』にもっと羽ばたいてほしい

 

いや~~~名古屋めしは本当に美味しいなぁ、僕はね、世界の山ちゃん手羽先が大好きでね。ここで飲み会するのがホントに好きなんですよ。あ、西尾抹茶割ひとつ!でね、手羽先をセンセーショナルにしたのが世界の山ちゃんだと僕は思っています。

 

へ?それは違う?アイドルグループ?何の話ですか?

 

 

 

 

 

そうやって聴かされた1枚のアルバムがありました。

手羽先センセーション、メジャーデビューアルバム『行く先、手羽先』

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そう、そんなプロローグがあったら良かったんでしょうけどね。

 

このアルバムに出会った経緯は、実につまらない軌跡でした。僕のタイムラインにいるオタクが偶然RTしてきて*1、偶然Spotifyで聴けた。けれども"たったそれだけ"で、このグループを猛烈にプッシュしたくなったんで、このブログを書きます。

 

本アルバムを聴いてみたら分かる通り、きっとこのグループが描いてきた軌跡がつまらなかったわけがないでしょう。このアルバムがどんなアルバムかと問われたら、僕は手羽先センセーションがもっと輝いていくことを教えてくれるアルバムだ」って答えると思います。毎週SpotifyのNewRelease機能を駆使しながら、今までにいろんなアイドルグループの新譜を聴いてきましたが*2これまでの苦難とこれからの希望がこんなに目一杯に詰まってる1枚は聴いたことがありません。

 

実のところ、僕はこのグループについて名前ぐらいしか知らなかったし、メンバーの顔すら見たことがなかったから、古参のファン=オタクたちからは「何を知ったようなことを」と言われるかもしれません。その通りだと思います。だからあえて僕は、公式のホームページとTwitterアカウントの紹介しかしません。彼女らについて、僕はまだその多くを知らないから。

www.tebasen.com

twitter.com

  

語らないのにはもうひとつ理由があります。それは、まず曲を聴いてほしいからです。『行く先、手羽先』は奇跡的なクオリティです。僕は、このアルバムが聴く人に見せてくれる景色を、信じます。運営公式アカウントが「楽曲派の顔つきになる」なんて面白いことを言っていますが、そのように言葉を尽くすことがナンセンス(決して運営をdisっているわけではなく)だと思うほどに、各々の楽曲が感情とストレートに相撲をとることができるパワフルさを備えている、と感じています。この書き方だと「ただ"曲が"すごい」と解釈されることがあるかもしれません。もちろん曲の作り方について面白いと感じる部分はいくつかあるけれども、それ以上に、メンバーのパフォーマンスによって「この曲をこの人達が歌う意味がある」と思わせてくれることが、このアルバムの何よりの魅力だと僕は思います。

 

同じセンテンスを繰り返すようですが、こんなに未来を向いているアルバムは後にも先にもこの一枚かもしれないんです。閉塞感を感じるご時世でもあるからこそ、今、聴いてください。2020年度のアイドルフラグシップミュージックです。

 

 

 

さて、ここから先はオタクの感想文です。たぶんこっちのほうが読みたい、と思う人が一定数存在するのではないかと思いますので、あとは適当にやります。需要に応じて、せっかくなので、このアルバムに入っている全曲について一言ずつ感想を書いていこうと思います。真面目なレビューではないかもしれないことを先に断っておきます、お許しください。

 

 

 

1. Opening

まず冒頭と終わりに謎のおっさんの声で「Yes,手羽先センセーション」って入っています。最初ポセイドン石川*3っぽいな、などと思っていたのですが全然違いました。高須医院長でした。

Openingでアイドルさんのコンセプトがわかるような音作りだとめちゃくちゃ高まる。いやイ"ェ"ッ"タ"イ"ガーとかじゃなくて。このアルバムにおいては、手羽先センセーション(以下手羽セン)はこのイントロのバンドサウンドで曲を切り盛りしていきます。

 

2. ハロー、ブランニューミー

手羽センのニューアルバムが奇跡的だ、と思う理由がこの曲に詰まっていると思います。欲しいなと思う音色が全部入っているからです。曲自体は超王道の曲だと思います。ベースラインが面白いことを除いて、特に難しいことはやっていないと思います。

王道で聴かせる、ということが実は一番むずかしいはずなんです。最後まで聴かなくても良いかなって気持ちにさせられちゃうのも少なくない。例えばSpotfiyのNewReleaseを全部聴こうと思うと、だいたい60曲で4時間かからないぐらいです。4時間もダラダラ聴いている時間があるかというとちょっと微妙ですよね。そうなると、開始15秒以内で「あんま面白くないな」と思ったら、次の曲へ飛ばしてしまうことも少なくない。けれども手羽センの楽曲群は途中で聴くのをやめようと一切思わなかったんです。もしあなたが曲を聴きながらこれを読んでくれていたら、きっとこの箇所を読むまでは聴いてくれているはず。今僕も聴きながら書いているけど、全部聴いちゃいました。ぶっちゃけ言うと2週目です。

このように聞き手の耳に訴えることができるのは、メンバーひとりひとりの声色がすごく魅力的だからなんじゃないでしょうか。歌割りが天才的です。ちょっとステレオタイプではあるけれども、アイドルソングと聞いてイメージするいろいろな声色がこのグループにすべて集められていると感じました*4。この意味で、本アルバムの魅力が引き出されるためには誰一人として欠けてはいけなかった、と思います。各々がこういう歌い方でポジション取りをするようになったのもすごく時間がかかったんじゃないか、とも思うと涙を禁じえません。え、妄想ですか?いやいや、オタクの醍醐味は妄想のシェアですよ。

少し話がそれましたが、もうひとつ大切だと思うのは歌詞。このナンバーに限らず、アルバムを通して、歌詞に「曲を聴いてくれている人たちへのエールであると同時に、メンバー自身の気持ちを綴っている」両面性が含まれているように感じました。手羽センの行く先が眩しく感じるのは、ここに大きな理由があるのかもしれません。

 

3. 未完成日記

ちょっとの間だけ文体を崩します。僕この曲がマージで大好きで。だって知ってるもん。最初のピアノ5音とギターの音が聴こえてきた途端に、「ア゛~~~ッ」ってクソデカい声出しながら、膝から崩れ落ちるタイプの曲だもん、これ。勢いよく崩れ落ちすぎてライブごとに膝の皿割っちゃうかもしれんわ。

よくクラシック音楽でも用いられるんですが、ちょっと"天空感"とか"高層感"を出すために、中低音を抜いて比較的高い音域だけで曲のシーンを構成することがあります。斎藤まなかさん(であってますよね?*5の青空を一閃切り拓くような歌声も、このシーンの良さをグッと引き出してくれています。

どうしてクラシック音楽を引き合いに出したかというと、全体的にオーケストラサウンド*6が映える曲だったからです。加えて、バンドサウンドもとても上手に融合できているように思えます。特に大好きなのは、イントロを抜けるときにティンパニが鳴るところ。これが入るだけで、世界開けていく感が100%濃縮還元されて聴こえてくる。アニソンとかでも結構使われている手法だとは思うんですけど、ここまでしっかり高低差が出せている曲は珍しいんじゃないかと思います。

兎にも角にも、今に満足せず邁進する人たちすべてに贈りたい一曲です。

 

4. 革命のセンセーション

一瞬だけ文体を崩します。キタキタキ(中略)タキタキタキタキタ!!

冒頭だけで超面白くないですか。これ流れてきたら「おっ、なんだこれ」って思いますよ。チャイニーズ旋律っぽいけど、ベースは首領蜂*7っぽいし、ユーロビートっぽい雰囲気になったかと思ったら小鼓まで聴こえてくるし。このままだらだら説明していると8,000字超えそうなので割愛しますが、要するにメロディだけでも日本サブカルチャーシルクロードの「道の駅」となっている名古屋の魅力が詰まっているんです。

「ご当地」が足枷になることもあるんじゃないだろうかと思う昨今で、これほどまでご当地名古屋をプッシュする楽曲はもはや宝刀以外の何物でもないですよ。全部、聖地巡礼したくなりますもん。ライブで曲の通り合いの手があったら、ものすごく楽しそう。あとアウトロがダサい(褒め言葉)。

 

5. 満開サクライロ

この曲もホント大好きです*8。アルバムの中盤だし、そろそろバラードでも来るのかなという雰囲気で始まったかと思ったら、まさかのaccel。よくよく聴いてみると心臓のビートが聴こえていて、春という季節への期待感と今にも駆け出したくなるような疾走感が、このaccelとともに見事に表現されていると思います。よくアイドルさんの楽曲で、脈絡のないテンポチェンジが散見されるんですけど、個人的にイマイチしっくりこなくて、accelするっていう選択肢をメジャーの最初のアルバムで出してくるのは、もう「最初はグー」のタイミングでパー出して勝ちに行くようなもんですよ。勝負する前に勝ちです。

この曲はなんと言ってもサビ。めちゃくちゃ魅力的ですよね。サビの入りでギアチェンジ感があり、めちゃくちゃカッコいい。まだちゃんと聴き分けられないのでどなたかがわかってないんですが、大サビの巻き舌も好き。サビのラスト「春爛漫!」で桜の花吹雪が水色の空へ羽ばたいていく様子も目に浮かびます

 

6. 夏情気性

春ときたら、夏。最近のアイドル恋愛ソング感が強い一曲です。この曲も王道で、キャッチーなフレーズ。曲が進行すると、リズムが変わったり、フックになる音が違ったり、同じ景色は見せないぞという意志をこれまで以上に感じる曲です。恋愛だってそうじゃないですか。同じ人間関係なんてないんですよ。急にどうしたんだ?そりゃそうもなります。この明るい曲調で夏が嫌いだって言うんですもん。あんなにキスもしたのに!

しかし笑っちゃったのが、曲の終わり際で吹っ切れたようにギターが超絶技巧始めるところですね。いやそこでかますんか~いってなりました。ある意味で失恋した人ヘ前を向いてもらうためのソングになっているように思えます。

 

7. ニコピの方程式

MVが(ここでクラップ)可愛い!冒頭の数秒で多幸感すらあります。見る麻薬。このMVの好きなところを壁紙にしたら在宅勤務もきっと捗るんじゃないでしょうか。

このアルバムの中で一番カワイイ感じの曲ですね。タイアップなども決まってるみたいで、力入ってるなぁと思います。売れそう(小並)。馬鹿野郎、今まで聴いてきた曲は全部売れるわ。売れないほうがおかしいわ。ただ、知られないことには話にならないことを最近痛感しており、誰かがタイムラインで叫び続ける必要がありそうだと思うので、売れるまで1日754回ぐらい「やっぱ手羽先センセーションだなぁ~」ってツイートしよう。いや僕ひとりで754回つぶやかせるつもりですか?あなたもやるんですよ。

曲調とかは言わずもがななので置いておいて、振り付けがとにかく可愛い両腕で窓から顔を覗かせるような振りがあるんですが、そのタイミングが一番好きですね。MVの3分59秒ぐらいからバッチリ振り付けを見せてくれるシーンがあります。ご確認ください。振りコピ部の予習用としても大変実用的です。

 

8. 足跡 -Ashiato-

絶妙な和音だったのでAメロを100回ぐらい再生した。まぁ、細かいところは置いておきましょう。タイトルの通り、今までを振り返るような曲です。これまで聴いてもらったらわかるとおり、2~5曲目がアンセムてんこもりセットだったとしたら、6~8曲目は青春ソング詰め放題という感じですね。

サビにロングトーンが出てくるのもこの曲が初めて、のはずです。自分たちが来た道を振り返ったときの、得も言われぬ情感がサビに詰まっています。『行く先、手羽先』をリリースした今が山の頂上だとしたら、頂上からさまざまな山道を眺めているような気分になる、そんな1曲です。

何よりエモい*9のは、この曲のあとにGoodbye, graduation!が入っていることです。この曲はGisで終わります。Goodbye, graduation!の始まりの音はAです。この足跡-Ashiato-があって、はじめて次の一歩を踏み出せるんです。

 

9. Goodbye, graduation!

この曲のイントロが聴こえてきたら、興奮から膝を抱え込んでアルマジロのごとく床を転がりまわる自信があります。現場では絶対にやらないでください。

この曲はタイトル通り、卒業ソングとして位置づけるべきかなと思います。聡明な読者の皆さんは既にお気づきかと思いますが、この曲のイントロは、学校の始業終業のチャイムと同じ音形です*10。落ちサビにも今まで使われていなかったオルガンの音が入っています。そういう音色の選び方も然り、このアルバムのリーサル・ウェポンとして相応しい完成度です。

この曲だけ、2人1組(3人1組?)のユニゾンで歌っています。ここでもメンバーの個性豊かな歌声が絶妙な融合を見せていて、どのメロディを聴いても飽きません。ユニゾンの様子を聴いていると、合唱曲にしても面白いのかもしれないなぁと思います。もしもし文部科学省ですか?音楽の教科書に載せたい楽曲があるんですけど*11

サビで5人になることで生まれるエネルギッシュさと旋律のコンパクトさから、これまで出会ってきた大きな感謝を伝える気持ちと共に振り返ることなく次に進もうとする姿勢を感じることができます。「大好きだよ」のワンフレーズだけ残して幕を閉じる、とても良い曲です。このアルバムを通して聴けてよかった、素直にそう思えます。

 

 

 

 

 

さて、ここまで読んでいただいた方は、きっと今頃は手羽センへの気持ちがより一層強固なものになったかと思われます。そんなあなたに朗報です。今日4月12日までにこのアルバムをお買い上げいただくと、なんと現場で使えるチェキ券がもらえます!

www.tebasen.com

でも、店舗限定とかでしょ?今は外出自粛期間だし、無理じゃん……とお思いのそこのアナタ!ご安心ください、購入サイト・購入店舗は問いません!!つまり、オンラインショッピングでも可!!!ただしメルカ○などの中古販売サイト、てめぇはダメだ。手羽先でタコ殴りにされたくなかったら大人しくしろ。

 

まるで回し者のような言い回しですが、僕は今まで一度も現場に行ったことがないので、ほんとに手羽センについて無知です。が、ただひとつだけ確かなことがあります。それは、今このアルバムを買えば実質無料になる、ということです。

 

tower.jp

 

 

 

このブログの冒頭で、シェアすることを"たったそれだけ"のことだと書きましたが、本当に"たったそれだけ"で、その手羽先をマジの大きな翼に変えて羽ばたけるかもしれないとしたら、積極的にシェア・発信するしかありません。それが、現場のないオタクができる最大限の応援だと僕は考えます。このすばらしいアルバム『行く先、手羽先』にもっと羽ばたいてほしい、と切に願います。

 

 

 

*1:RTをしてくれたゆつきくん、本当に感謝します

*2:もちろん、僕の知らないグループもたくさんあるかと思います。ぜひ皆さんのオススメを教えて下さい。ちゃんと全部聴きます。

*3:https://twitter.com/pose_inc?s=20

*4:このアルバムを聴いている時点で僕が一番好きな歌い方をしているのは橋本琴春(はしもとこはる)さんです。かっこいいです。

*5:もし間違えていたら大変申し訳ありません、どなたなのかを教えて下さい。。。

*6:ストリングスの音源がちょっと残念だなと思うシーンがあって、ぜひ生オケでやってほしいなぁなんて。いくら金がかかるとかは完全度外視ですが…。

*7:ATLASの作った鬼畜STG。BGMも魅力のひとつ。

*8:っていうかもうここまで来たときには、刺さらない曲がないなと直感で気づきました。

*9:貧弱な語彙力-100点

*10:今の時代はチャイムが鳴らない学校も多いみたいですね。僕が通っていた学校もチャイムが鳴らない学校でしたが、当時としては異例でした。

*11:ただ、このテンポ感でやるのはちょっと酷かもしれませんね。少なくとも伴奏はやりたくありません