When you wish upon うた

歌に願いを

バーチャル山月記

 

 秋葉原出身の李徴は、たいへん物知りで、非常に才能にも恵まれていたが、平成の最後の年、まだ年少でありながらもTwitterの本人確認試験に合格して、その名前をTwitter著名人としてタイムラインに載せられることになり、さらにはFANBOXやSkebなどで人々の欲求をつかさどる絵描きになった。しかし、その性格は、頑固で人と調和せず、プライドがとても高く、下っぱ絵師の地位では満足しなかった。


 いくらも経たないうちに絵師としての活動を落ち着かせた後は、故郷に帰ってひっそり生活し、他人とのつきあいを絶って、ひたすら二次創作ばかり作っていた。身分の低い非正規雇用者になって、長い間、品のない上司の言いなりになるよりは、同人作家として有名になって、その名を死後インターネットに100年先まで残そうとしたのである。
 しかし、同人作家としての名は簡単には広まらず、生活は日を追って苦しくなっていった。李徴は、だんだん追いつめられ、焦ってきた。
 このころから、見た目も厳しく険しくなり、顔の肉がそげ落ち、骨が飛び出し、目の光だけがむやみに鋭く光って、以前Twitterで本人照合に合格した頃の、ほおのふっくらとしたプロフィール自画像の面影は、どこにも見ることができなかった。

 

 

 

 


 数年の後、貧乏暮らしに耐えかねて、妻子の生活のために、ついにあきらめて、再び東方へと行き、頑なに手を出さなかった成人向けジャンルの作品に関わることに決めた。とあるエロゲーのデザイン職をもらうことになったのである。一方、これは、自分の絵描きとしての将来に半分絶望したためでもある。
 以前、同期であった仲間は、もうはるか高い地位に進み、彼が昔、のろまでにぶい平凡なやつと思ってまったく相手にもしなかった連中の命令をありがたく受けなければならないことが、過去の秀才李徴の自尊心をどれほど傷つけたかを想像するのは容易なことである。結局彼は、仕事にありつけたところでふさぎ込んでしまい、何をしても楽しい気分になれず、その狂気じみてわがままな性格をますます抑えにくくなっていった。

 

 

 


 一年後、仕事が安定しつつあるかと思えた時期、李徴はとうとう発狂した。ある日の夜中、急に顔色を変えて寝床から起きあがると、何か訳の分からないことを叫びながら、そのままパソコンのある部屋へと引きこもり、闇の中に煌々と輝くディスプレイに張り付いたままになった。
 彼は二度と外へと出てこなかった。どんなSNSを探しても、何の手かがりもなかった。その後、李徴がどうなったかを知っている者はだれもいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の年、インターネット治安維持を仕事としていた東京の袁という者が、上司の命令でYouTubeを監視していた時のこと。袁がまだ明るいうちにモラルハザードな動画を検索しようとしたところ、上司が言うには、「オススメ動画には切り抜き動画が出てきがちになるので、一度の生配信クリックが検索の妨害になる。すぐに動画の閲覧をせず、監視重点ワードが出るまで、指示を待つのが良いだろう」と。しかし袁は、他の監視員たちが何人もいるから大丈夫だろうと、上司の言うことを聞かずに動画閲覧を始めた。手渡された検索ワードを灯台にして、YouTubeの大海原を通っていったとき、一人のVTuberの生配信が検索結果の中から躍り出た。VTuberは、ピンク髪のツインテール3D美少女で、今にも袁にクリックさせんとする"性癖に刺さる容姿"だったため、さっとディスプレイを上司のいない方向へと傾けて、隠れてクリックし、すぐさまその3Dモデリングを褒めるコメントをした。袁が仕事に使っていたChromeは、本人のGoogleアカウントが同期されていたので、袁はあろうことか本名でコメントしてしまった。


 すると、VTuberからは「えっ!?」という小さく野太い悲鳴と共に、「危ないところだった。」と繰り返しつぶやくのが聞こえた。その容姿からは想像しがたい低い声に、袁は聞き覚えがあった。驚きながらも、彼はすぐに思い当たって、チャットで叫んだ。

 

 

 

 


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その声は、我が友、李徴氏ではないか?

 

 

 

 


 袁は李徴と同じ年に、Twitter陰キャpostで有名人になり、友人の少なかった李徴にとっては、最も親しいインターネッ友であった。おだやかな袁の性格が、けわしい李徴の性格とぶつからなかったためだろう。
 画面の中からは、しばらく返事がなかった。100人近くいる視聴者をよそに、忍び泣きかと思われるかすかな声がときどき漏れるだけである。しばらくして、美少女が答えた。「お察しのとおり、私はあなたの知っているその人です」と。

 袁は我を忘れ、オフィスチェアをデスクに限界まで引き寄せ、ディスプレイへと顔を近づけ、ガワのかわいさを再確認し、そして、何故にその仮想世界から現実へと出て来ないのかと再びチャットで問いかけた。李徴の声が答えて言う。

 「ご覧のとおり、自分は今やVTuberの身となっている。どうして、おめおめと縁を切った人たちの前に、バーチャル美少女受肉した姿をさらせようか」と。自分が姿を現せば、必ず君たちに畏怖嫌厭か……さもなければ可愛すぎる自分にガチ恋の情を起させるに決まっているからだ(そうに違いないと人差し指を立てながら、えっへんというモーションをするツインテールの美少女がそこにはいた)。しかし、今、旧友との偶然の邂逅を経て、そうした懸念をも忘れる程に懐かしい。どうか、この生放送のあとで、我がチャーミングな今の外形を厭ず、かつて君の友人・李徴であったこのバーチャルな自分とVRChat上で話を交してくれないだろうか……

  

 

 

 後で考えれば不思議だったが、この時、袁は、この超架空的な出会いを実に素直に受け容れて、彼女/彼が偽物である可能性を少しも怪もうとしなかった。袁は仕事を忘れて、ディスプレイの傍に立って、Oculus Quest2を装着し、指定されたVRChatワールドのプライベートインスタンスを作成し、すぐさまダイブした。暫くして、送られてきたフレンド申請を承認すると、すぐにバーチャルツインテール美少女・李徴と相対した。ここで袁の声を聞くことになった李徴は、ついに号泣した。

 今はびこる二次創作界隈の噂、旧友の消息、袁の現在のストリーマーとしての地位、それに対する李徴の賞賛。青年時代に親しかった者同志の、あの隔てのない語調で語られた後、袁は、李徴がどうして今の姿へと受肉するに至ったかをたずねた。桃色の二尾をふりふりしながら、美少女アバターは次のように語った。 

  

 

 

 

 

 今から一年程前、自分がインターネットに再進出し、YouTubeにお絵かき動画をアップロードした夜のことだった。一睡してから、ふと眼を覚ますと通知がきており、どうやらコメント欄で誰かが自分を呼んでいるようだった。コメントを見ると、いくつものアカウントが、画面の中からしきりに"仮想"へと自分を招いているのである。覚えず、自分はそれぞれのコメントに対してリプライし始めた。無我夢中でタイピングをしてゆく中に、何時しかAmazonのカートで何かを購入し、しかも、知らぬ間に自分は左右の手でOculusコントローラーを掴んで、仮想空間をひた走っていた。何か身体中に力が充みち満ちたような感じで、軽々と物理オブジェクトを跳び越えて行った。気が付くと、手先やひじのあたりがつるつるに脱毛しているらしい。ホームワールドに戻りHQミラーに姿を映して見ると、既に自分が動画で描いていたピンク髪のツインテール美少女となっていた。自分は初め、眼を信じなかった。次に、これは夢に違いないと考えた。夢の中で、これは夢だぞと知っているような夢を、自分はそれまでに見たことがあったから。 

  

 どうしても夢でないと悟らねばならなかった時ーー良くも悪くもVR空間に囚われてしまったのだと理解した時、達成感が湧いてきたのだが、次第に茫然としてきた。そうして恐れた。全く、どんな事でも起り得るのだと思うて、深く恐れた。しかし、何故こんな事になったのだろう。わからなかった。全く何事も我々凡人にはわからないのである。理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもの、そして凡人のさだめだ。自分は直に、二度とリアルの生活には戻れない意味での「死」を感じた。しかし、その時、眼の前を一匹の美しいフルトラッキング・バニーガールが駈け過ぎるのを見た途端に、自分の中の理性は忽ち姿を消した。再び自分の中の人間が目を覚ました時、自分はバーチャル空間に溺れ、フルトラッキングウェアラブルバイスオーディオインターフェース、加えてラベリアマイクやダミーヘッドマイクなど、さまざまな機材に囲まれていた。これがバーチャル美少女受肉した際の、最初期の経験であった。

 

 


 それ以来、YouTubeでもその3Dモデルを用いて配信活動を始めた。非常なまでにちやほやされた。ちやほやされるために、今までにどんな配信を繰り返してきたか、それは恥ずかしくてとても語れない。ただ、一日のうちに必ず数時間は、現実を直視する心が戻ってくる。そういうときには、以前と同じく、難しいことを考えたり、「黒棺」の詠唱をそらで言ったり、そういう行為で気分を紛らわせた。その心で、バ美肉VTuberとしての自分の浅はかな行いの軌跡を見て、かつての栄光と照らし合わせながら自分の運命を振り返るときが、最も情けなく、恐ろしく、腹立たしい。しかし、その我に帰る数時間も、日がたつにつれてだんだん短くなっていく。以前は、どうしてVTuberなどになったかと疑問に思っていたのに、この間ふと気がついたら、おれはどうして以前バーチャルに没入していなかったたのか、と考えていた。これは恐ろしいことだ。あと少したてば、おれの中の本来的なリアルの心は、VTuberとしての習慣の中にすっかり埋もれて消えてしまうだろう。ちょうど、ニコニコ動画がだんだん他の動画SNSのなかに埋もれていったように。そうすれば、しまいにおれは自分の過去をすっかり忘れ去り、一人のVTuberとして配信に狂い回り、今日のように生放送で君と出会っても、たくさんの視聴者の中からそれが友であるともわからなくなり、君がスパナ持ちからBANを食らってもなんの悔いも感じないだろう。

 そもそも、バーチャル美少女でも生身の男でも、もとは何かほかのものだったんだろう。初めはそれを覚えているが、だんだん忘れてしまい、初めから今の姿だったと思い込んでいるのではないか?いや、そんなことはどうでもいい。おれの中のリアリティがすっかり消えてしまえば、おそらく、そのほうがおれはしあわせになれるだろう。それなのに、おれの中の人間的な感覚は、どういうわけかそのことをこの上なく恐ろしく感じているのだ。ああ、全く、どんなに、恐ろしく、悲しく、切なく思っているだろう!おれが恵まれた人間だった記憶のなくなることを。この気持ちはだれにもわからない。おれと同じバーチャルストリーマーとなった者でなければ。ところで、そうだ。おれがすっかり現実的な存在でなくなってしまう前に、一つ頼んでおきたいことがある。


 袁は、息をのんで、VRCの中の声の語る不思議に聞き入っていた。声は続けて言う。

 頼みというのは、ほかでもない。自分はもともと絵師として名を残すつもりでいた。しかし、その目的がまだ達せられないうちに、こういう数奇な運命を辿ることになった。昔作った絵は数百枚、当然のことながら、その一部はまだインターネットにはアップロードされてはいない。置いてきた漫画の原稿の行方ももう今ではわからなくなっているだろう。ところで、そのうち、今もなおローカルに保存しておいたものが数十作ある。これらを君のハードウェアに記録したうえで、外の世界へと伝えてほしいのだ。なにも、これによって一人前の作家のふりをしたいのではない。出来ばえは別にして、とにかく、財産を食いつぶし、気を狂わせてまで自分が生涯こだわったものを、たとえ少しでも後の世に伝えなくては、死んでも死に切れないのだ。

 袁は社用PCに命令をして、VRCワールド上の声の言う通りに、クラウド上にあるプライベートフォルダを探し当て、その中にある画像データをローカルに保存させた。

 李徴の漫画や絵は、その美少女アバターの姿に似た主人公を題材としたものが多く、長いもの・短いもの合わせて三十編ほど、画風は今風で、線が細く淡い色合いを特徴としており、オリジナリティにも優れ、ちょっと見ただけで、作者の才能が並みではない、と感じさせるものばかりである。しかし、袁は感心しながらもぼんやりと次のように感じていた。なるほど素質としては一流であることはまちがいない。しかし、今のままでは作品として一流になるのには、どこか(非常に微妙な点で)足りないところがあるのではないか、と。


 昔作った絵を手渡した李徴の声は、突然、自分自身をばかにするような調子に変わって言った。恥ずかしいことだが、今でも――こんなみじめな姿に成り下がった今でも、おれは、おれの画集が日本のサブカル文化人たちの机の上に置かれている様子を、夢に見ることがあるのだ。VRCの中で横たわって見る夢にだよ。笑ってくれ。絵師になり損なって、己の承認欲求のためにバーチャル美少女になった男を。(袁さんは昔、青年だったころの李徴の、自分をばかにする癖を思い出しながら、悲しく聞いていた。)そうだ。笑い話のついでに、自分の今の思いを即席の"絵"にして、君にくれてみようか。この3Dの身体の中に、まだ、昔の李徴が生きている証に。
 そうやって提示されたURLを通して、袁は再びクラウドサービスにアクセスした。PCにダウンロードされたのは、本来の李徴の姿を正確に模したvrmデータだった。

 

 

 

 


 さて時間はというと、バーチャル空間では全くわからない。少なくとも、上司がこちらに向けている目は冷ややかであろう。足早と椅子を立った同僚たちの地面を蹴っていく音が響き、人が少なくなったフロアの間を抜ける冷たいエアコンの風が、もう退勤が近いことを教えてくれていた。袁はもう、事柄の不可解さを忘れ、おごそかな気持ちになって、このバーチャル美少女受肉者の不幸を嘆いた。李徴の声は再び続ける。


 なぜこんな運命になったかわからないと、さっきは言ったが、しかし、考えようによれば、思い当たる理由がないわけでもない。まだリアルな人間であったとき、おれはできるだけ人とのつきあいを避けた。人々はおれに対して「えらそうにしている」「態度がでかい」と言った。実は、それがほとんど自分を恥じる気持ちに近いものであることを、彼らは知らなかった。もちろん、以前、"期待の新人"と言われた自分に、高いプライドがなかったとは言わない。しかし、それは「こわがりのプライド」とでも呼ぶのがふさわしいものであった。おれは絵によって名を後世に残そうと思いながら、積極的に先生について学んだり、自分から目的を同じくする絵の友とつきあって能力を磨きあうことをしなかった。かといって、また、おれは凡人にまぎれて生きることにも満足しなかった。どちらも、おれの「こわがりのプライド」と、「えらそうな恥ずかしがり」とのせいである。自分に才能がなかったらと心配なために、努力して能力を向上させようともせず、また、自分には才能があると半分は信じていたために、凡人の中にまぎれてぼんやり生きることもできなかった。おれはだんだん世間や人とつきあわなくなり、悩み・苦しみや恥ずかしさによってますます自分の心の中にある「こわがりのプライド」を大きくさせてしまった。「人間はだれでも女の子になれるのであり、その精神性は、その人の性格や心のあり方によって左右されるのだ」と聞いたことがある。おれの場合、この「えらそうな恥ずかしがり」という性格がピンク髪のツインテール美少女だった。ピンク髪のツインテール美少女だったのだ。これがおれをメスにさせ、結果的に妻子を苦しめ、友人を離れさせ、最後には、おれの外形をこのとおり、内心にふさわしいものに変えてしまったのだ。今思えば、まったくおれは、おれの持っていたほんの少しの才能をむだに使ってしまったわけだ。「人生は何もしないでいるには長すぎるが、何かをするには短すぎる」などと忠告の言葉を口先だけでもてあそびながら、実際は、才能が足りないことが表れてしまうかもしれないとのひきょうなおそれと、努力をいやがる怠け心とがおれのすべてだったのだ。才能的にはおれよりもはるかに下でありながら、それを一生懸命に磨いたために、立派な絵師となった者がいくらでもいるのだ。VTuberになった今、おれはやっとそれに気が付いた。それを思うと、おれは今も胸を焼かれるような後悔の気持ちを感じる。おれにはもう創作者としての生活はできない。たとえ、今、おれが頭の中で、どんな優れた構図をつくったとして、それが絵になったところで名声に結びつくわけがない。手放しの称賛がわずかに届くだけなのだ。まして、おれの頭は日が経つごとに少しずつ女の子に近づいていく。どうすればいいのだ。男として浪費されてきたおれの過去は? おれはいてもたってもいられなくなる。そういうとき、おれは、配信に向かうのではなく、VRCワールドのポリゴンの岩を駆け上がり、何もない地平に向かって駄々をこねる。胸を焼くようなこの悲しみをだれかに訴えたいのだ。おれはゆうべも、あそこでバーチャル月に向かってじたばたした。だれかにこの苦しみがわかってもらえないかと。しかし、パブリックで開いたインスタンスだったとて、joinしてきた他のアバターたちは、おれの低いうめき声を聞いて、ただ恐れ、ミュートするだけだ。一人のアバターが何か嫌なことがあってうずくまっているとしか考えない。ボタンを押してジャンプし、地面に突っ伏して嘆き悲しんでも、だれ一人おれの気持ちをわかってくれる者はない。ちょうど、まだリアルを生きる人間だったころ、おれの傷つきやすい心をだれもわかってくれなかったように。おれの額がぬれたのは、VRゴーグルのせいだけではない。

 

 


 やっと辺りが静かになってきたところで、デスクの間をぬって、どこからか、終業を告げるチャイムの音(ね)が悲しそうに響き始めた。
 今はもう、別れを告げなくてはならない、自分に酔わなくてはならないときが、次の配信枠の時間が、近づいたから、と途切れ途切れに李徴の声は言った。だが、お別れする前にもう一つ頼みがある。それは私の妻や子のことだ。彼女らはまだ私の地元にいる。いうまでもなく、おれの行いについては知るはずがない。君が職場から帰ったら、李徴はもう死んだ、と秋葉原に住う妻や子に伝えてもらえないだろうか。決して今日のことだけは言わないでほしい。厚かましいお願いだが、彼らの弱い立場をかわいそうに思って、今後とも道端で飢えたり凍えたりすることのないようにとり計らっていただけるならば、自分にとって、これ以上ありがたいことはない。
 言い終わって、美少女アバターから大きな泣き声が聞こえた。袁もまた涙を浮かべ、喜んで李徴の希望どおりにすることを答えた。しかし李徴の声はすぐにまたさっきの自分をばかにする調子に戻って、言った。
 本当は、まず、このことのほうを先にお願いしなくてはならなかったのだ、おれが地に足ついた人間だったなら。飢え凍えようとする妻子のことよりも、自分の成功の見込みもない配信活動のことばかりに気をとられているような男だから、こんなふうに身を落とすのだ。
 そうして、付け加えて言う。袁が再びVRCへと帰ってくるときには、絶対にこのインスタンスへ来ないでほしい、そのときには自分が美少女であることに酔っていて、友と見分けられずにメスを出してしまうかもしれないから。また、今別れてから、YouTubeにあるチャンネルにたどり着いたら、チャンネル登録をして、生配信を見てほしい。自分は今の姿をさらに進化させて、ボイスチェンジャーを導入し、もう一度お目にかけようと思う。可愛らしいところを自慢しようとするのではない。みにくい自分の姿を示して、それによって、帰りにまたここへ戻ってきて、李徴に会おうという気持ちを君に起こさせないためである、と。
 袁は、よく作られたパーティクルをまとったアバターに向かって、ていねいに別れの言葉を言い、セッティング画面を開き、VRCを閉じた。アバターからは、また、がまんできないというような悲しみの泣き声が漏れたのがわかった。袁も何度も両手のコントローラーを左右に振り、泣きながらログアウトした。

 

 

 

 

 

 袁が自宅に辿り着いたとき、彼は言われたとおりにチャンネル登録をし、生配信を眺めた。するとすぐに、一人のピンク髪ツインテール美少女が画面の枠外から飛び出してきた。彼は聴いた、もう従来の声を想像できないほどに変わってしまった彼の声帯を。きっといつも通りの挨拶をこなそうとしていたのだろう。しかし、二、三回セリフを噛んだかと思えば、画面外に飛び出していき、二度とその画面に戻ってくることはなかった。

ヒューリスティック・シティから振り向かずに去る4人の女たち

 

1億2000万人のドルオタの皆様。お久しぶりです。ちえぴです。

 

 

 

"現場"なき暗黒の世界にまばゆい光を注いでくれたフィロソフィーのダンス(以下フィロのス)に感謝しつつ、久しぶりのブログを記します。ライブ内容についてかなり言及するのと、新曲についても少しだけ言及しますので、これから名阪会場に足を運ばれる方・これから配信をご覧になる方はネタバレOKであればお読みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Dance with me tour 2021

フィロのスのDance with me tour 2021(以下DWM2021)東京公演に行ってきました。

ざっくりライブ概要についてはpopnrollさんの記事を載せておきます。

popnroll.tv

 

全体を通して、「フィロのスの今まで」をしっかりと踏襲しつつも、「これからのフィロのス」を魅せようとするエネルギッシュでキュート&クールなライブパフォーマンスだったと記憶しています。生バンドで映えるアイドルNo.1であることを立証してくれる熱量のある音楽。フィロのスが放つ音楽を、演者のみならず、観客サイドも作ろうとするFeel Free with Musicな空間。ファンとの距離感が近く、ナイアガラ滝もびっくりの高低差を感じるアフタートーク。どれをとっても最高の3時間でした。もしかすると1年間に生まれる自分の笑顔の7割以上がフィロのスのライブで生まれているのではないか*1と思うほどに終始満面の笑みにさせていただいたので、今私は頬が痛いです。

 

今回のDWM2021で初披露された新曲の2曲も、ツアーコンセプトに沿った内容で、ライブ映えする2曲だったと思いました。アニソン的旋律も聴こえてきましたが、そこをしっかりとフィロのスの音楽にまで落とし込んでいたとステージを見て感じました。次にリリースされる2曲は今後のライブの必殺楽曲になるだろうと確信しています。まだ聴いていない諸オタクの皆様に置かれましては、音源だけでなく、ぜひ現場に来て生で聴いてほしいと切に願います。

 

 

 

ヒューリスティック・シティ』

さて、この僕が久しぶりにはてブを書こう、書かねばならない、と感じたライブパフォーマンスがこのDWM2021にはありました。表題に書かれた『ヒューリスティック・シティ』です。

youtu.be

生バンドが付随した際の恒例になりつつある「アコースティック」のライブコーナーで披露された『ヒューリスティック・シティ』。そう、アコースティックアレンジ版で今日の『ヒューリスティック・シティ』は演奏されました。今まで何度もライブで聴いてきましたが、今回の『ヒューリスティック・シティ』は、これまでのどの『ヒューリスティック・シティ』よりも「4人が描きたいもの」が克明に描かれていたと同時に、今のフィロのスの"強さ"を反映していたと感じました。

 

 

 

しつこい女たち

ボサノバ風にアレンジされた『なんで?』から間髪入れずにアコースティック『ヒューリスティック・シティ』へと入っていく瞬間、質の濃い失恋文脈から楽曲が放たれたことにまず天を仰ぎました。私(女)の価値をわからないまま結婚していった男への執着を捨てきれない様子が垣間見える『なんで?』から、捨てなくてもよかったかもしれない過去との決別を選ぶ女心が描かれる『ヒューリスティック・シティ』がつながる瞬間を、この耳で聴き取りました。

私はあの瞬間に、神ではなく、フィロソフィーのダンスに感謝しました。おそらくセトリは彼女たちが作ったのでしょう、天才だと思いました。唯一、神に感謝することがあるとしたら、フィロのスの4人を産んでくれたことでしょう。そしてこのフィロのスをプロデュースしてくれているのは紛れもなく加茂啓太郎氏であります。加茂と神は「かも」/「かみ」とひらがなにすると一文字違いなので、そんなに大きな違いはありません。よって加茂啓太郎プロデューサーは神Q.E.D.

ちなみに僕はフィロのスの4人が「しつこい女」であってほしいと常日頃から思っています。ステージに対する胆力も、男に対する握力も、どちらも備えている女たちであってほしい

 

 

 

ハーモニーは良い女から生まれる

ヒューリスティック・シティ』の冒頭、静かにジャジーなコードを奏でるキーボードと共に、会場に奥津マリリ氏の声が響き渡ります。この時点で涙を流すオタクも少なくないと伝聞していますが、私が驚いたのは次のサビでした。通常4人ないし2人のユニゾンで歌いあげていたはずのサビが、4人のハモりで披露されたのです。バックバンドの音数が少ないこともあって、ポリフォニックさが際立ち、いつもよりもゴージャスかつ神秘的にも感じられました。ほかの楽器の音も聴こえるなかで4声をハモるというのは並大抵のことではないので感動しました。「良い女」であることの条件はハモれることであると確信した出来事でした。

 

 

 

シミュレーション・ヒューリスティック

4人の生むハーモニーを堪能していると、曲はあっという間に終盤へ。名残惜しいような気持ちになっていると、バッグバンドの音数が増えました。ここにきてドラムやベースなどの楽器に動きが加わるようになったのです。まるで、4人の女が振り返ることをやめて歩み始めるかのような、速度が加わったのです。

 

 

 

すると、なんということでしょう。私の前に、闇夜に瞬く星々が現れました。しばらくして、私はそれらが高層のビルで輝く無数の小窓であることをようやく理解しました。しかも、それを見ているのは私だけではなかったのです。その刹那、会場にいるすべての男女が、Zepp羽田の座席ではなく、夜に長く伸びる建物に囲まれた公園のベンチに座っていました。

 

「別に、嫌いじゃないよ。」

その言葉に少しだけ力を緩めた男の手から、離すつもりのなかったその手が――するりと、しかし男の手のひらをなぞるようにすべり落ちた。

「けどね。きっと私たち、うまく行かないと思う。」

 そう一言告げて静かに立ちあがり、男を一瞥もせずに、去っていく4人の女たち――奥津マリリ日向ハル十束おとは佐藤まりあ――それぞれの女たちが過去と訣別し、踏み出していくその歩みが、バックバンドと共に4人によって奏でられていたのです。儚くも芯を強く持とうとする女たち、その幻視が会場全体を過ったのです。紛れもない集団幻覚でした。確実に視えました。

 

生まれなかった未来と
わからなかった論理と
忘れられた夢にも

この歌詞を歌いあげる奥津マリリ氏の歌でようやく現実へと引き戻された私たちは、この『ヒューリスティック・シティ』という楽曲の旨味をドラマティックに味わいました。生バンドをここまで巧みに使う演出のできるアイドルは類を見ません。この曲は「経験が恋を呼ぶ」という歌詞で締めくくられますが、恋を呼ぶ経験をさせられたのは私たちの方だったのかもしれません。

 

 

 

他界させないアイドル2021=フィロソフィーのダンス

ところでライブのMC中に、十束おとはさんから「他界しないでいてくれてよかった」という旨のコメントがあったのですが、こういう気持ちにさせてくれる機会=ライブが必ず訪れることを知っているので、他界するわけがないんですわ。現場が乏しい世界でも最高を見せつけてくれるフィロのスをこれからも担いで回ります。最高すぎて怖いぐらいですからね。多分「フィロのスの悪魔」がいたらチェンソーマンと相当いい勝負します。かなりもつれ込むと思います。そのぐらい最高です。これからも行けるライブ全部行きます。

 

 

 

 

 

アコースティック版

ヒューリスティック・シティ』が聴ける

見逃し配信ライブはこちらから。

 

 

 

 ご清聴ありがとうございました。

*1:普段ほとんど笑わないことを示唆するかのような言い回しで、陰キャであることを自白せざるを得ません。

アイドル界の超新星、Ringwanderungのこと

 

いつものようにSpotifyアイドルソングプレイリストを漁っていた時のこと。しばらく無心で聴いていると、面白いイントロに出会った。尖ったリズムで和声を放つピアノに、やや攻撃的なテンポで掻き鳴らされるギター。加えて、"アイドル"感があるもののきっちり声質と音程が揃ったコーラス。巷じゃこれを「ピアノロック」と言うらしいのだけれども、これは今流行っているジャンルと言っても差し支えないだろう。

 

 

しかし、どうやら今聴いているこの曲は、ただ流行りのジャンルに乗っかってきたというわけではないらしい。Aメロに入るや否や、すぐにメンバーの歌唱力にポテンシャルがあることを理解できた。明らかに他のグループにはないものが光っていた。並べるのはいささか失礼かもしれないけれども、端的に言って、「フィロソフィーのダンス」以来の衝撃だった。

 

 

少しきつめのポケットにしまっていたスマホを慌てて取り出して、再生中の曲を確認した。『La La』と、黒のジャケットを背景にして、シンプルな白文字で書かれている。グループ名は、"現場"では見たことのない名前ーーとはいえ、Twitterのタイムライン上で見かけたことのある名前ではあった。

 

 

僕はアイドルソングSpotifyで漁るのが趣味の人間なので、曲は知っているが一度も現場に行ったことがない、ということが往々にしてある。ご多分に漏れず、このグループについても全くステージを見たことがない。けれども、きっとこの子たちは本気だ、と思った。歌とダンスと、パフォーマンスに賭ける覚悟のある子たちに違いない。僕は今Spotifyで聴けるたったの4曲で、少なくともそう信じたいと思わされた。このグループは間違いなくアイドル氷山の頂点へと、一直線に、彗星のごとく駆け上がっていく存在になる、と。

 

 

 

 

 

その名も「Ringwanderung」

 

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実にいい名前だと思った。名付け親が誰かは知らないが、ほくそ笑んでいるに違いない。こういう名前にするくらいだから、よほど自信があったのだろうけれども、きっと今はそれが確信に変わってきていることだろう。

 

  

 

 

 

調べてみたところ、所属事務所はサンカラーズらしい。奇遇なことに、僕がしばらく前にeQリーグで見たことのある子もいた。彼女のステージでの様子を見た限りでは、負けん気が強い子だった記憶がある。あの子がどの声の持ち主かは、例のごとく、さっぱりわからない。"楽曲推し"で楽しいと思うことのひとつに、いったい全体この歌い分けがメンバーのうち誰のものなのかを想像しなければならないところがある。

 

 

わからないながらも、Ringwanderungのメンバーそれぞれの声は実に個性的だと思った。一方でユニゾンには一体感がある。そして、その楽曲のすべてにおいて僕が大好きな「このメンバーでこそ歌う意味がある」と感じさせてくれるシーンがたくさん詰まっていた。アイドル楽曲を聴いて感動するポイントというのは、まさしくこういったシーンを体感できた瞬間にあるのではないだろうか。

 

 

 

各メンバーの細かい歌のテクニックにも注目したい。例えば、『La La』で衝撃的だったことがいくつかある。百聞は一見にしかず、とよく言ったものだが、今回に関しては逆、百見は一聴にしかず

昨今の地下ドル楽曲において、ここまでしっかりとした声量、技巧的なビブラート、そしてシーンに応じた表情を持った曲があっただろうか。ところどころに入るしゃくりや、エネルギーのあるハイトーンも文句の付けようがないぐらいに素晴らしい。もしこれを、本当に、ステージでやってのけていたとしら……末恐ろしい。某Pの加茂啓太郎さんの言葉が脳裏を過ぎる。

 

 

そう、そんなことが成されてしまえば、文字通り「最強」になってしまうのだ。多くのグループがそれを目指し、挫折しているのだから、それこそ「最強」が生まれてしまったら事件である。……いや、もう既にRingwanderungは事件なのだと思う。心の楽曲警察アイドル楽曲派出所から、何台ものシナプス・パトカーがけたたましいサイレンを鳴らし、全身の神経という神経を逮捕して、Ringwanderlungへと勾留してしまうのだ。そうなってしまえば最後だ。何度聴いても高揚感を覚え血肉が湧き、心が踊る感触が根付くことになる。

 

 

 

『La La』以外も紹介せねばなるまい。個人的には『es』を推したい。ややフレンチな雰囲気を帯びながら進行していった先に、ニヒルな詞とクールなヴォーカルが紡がれる。サビに入る瞬間のフェイクが、聴く人の心を音に集中させてくれる。

歌えるアイドルはハモれる。ユニゾンはユニゾンで綺麗に聴かせようとすると、それはとても大変なのだけれども、ハモりについては演者の耳が高度に要求される。『es』ではBメロで、華麗なハモリが披露されている。もちろん、音源では綺麗に聴こえて、ライブでは破茶滅茶なものを見せられるというパターンも往々にして存在するが、少なくとも音源にしているということは、ライブでの披露も想定されているに違いないので、これはチャレンジできるグループでなければ難しい。

 

 

 

ここまで来るともう一曲紹介したくなってくる、『ユレ↑ル↓ナ→』だ。とにかくこの曲はピアノの音列が面白すぎる。個人的には間奏が大好きで「ゆらぎ」にも見えるミニマルな音の並びが、きちんとサビへと解決された瞬間の気持ちよさときたらない。

 

 

 

おかわりだ。もう一曲挙げよう。『ハローハロー』は不協のオルガンサウンドで始まる、Ringwanderungの代表曲……らしい*1。王道的な旋律に対して、ところどころ入る破壊的な和声が絶妙な楽曲である。意図的なミックスなのかもしれないけれども、ほかの楽曲に比べてボーカルがかなり前面に出ている印象なので、"売り"はメンバーのパフォーマンスだぞという主張すら感じる。私は前述の3曲の方が好みなのだけれども、わかりやすい疾走感があるため、実は人におすすめしやすいのはこちらの方なのかもしれない。

 

 

 

そう。そうなのだ。Ringwanderungについて今Spotifyで聴ける4曲のすべてが、圧倒的に思えるのだ。どうかしてる。こんなグループが――今世の中に蔓延っているアイドル楽曲への偏見すべてを、まるでブルドーザーのごとく、完膚なきまでに蹂躙してくれるグループが――現れてたまるか。もしかすると神様は、天や地を作ったときにこう考えていたのかもしれない。「あ、2019年ぐらいにRingwanderungを作っとこ。リンワンあれ。」……それこそ、神様がコロナあれとさえ言わなければ、とも思う。

 

 

 

今は他の星々の明滅に混ざって見えないかもしれないが、いつか太陽のような眩しいぐらいの輝きで、天高くから他の星々を照らすようになる。そんな熱いステージを感じるために必要なのは、1億4960万km先を見るための望遠鏡などではなく、最前で見るためのチケットだ。

 

 

 

RIngwanderungの公式ホームページはこちら。

メンバーなどの紹介もこちらからご覧ください。

ringwanderung-official.com

 

 

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*1:少なくともSpotifyでは一番人気だ

三峰神社のご利益で限定SSR三峰結華は引けるのか?

 

こんばんは。ちえぴです。

 

 

有能な同僚の皆様は、今回シャニマスに実装された期間限定のP-SSRカード『【くらくら】三峰結華』をすでにご覧いただけているかと思います。絶対に引きたいですね。必ず引く以外に選択肢はありません。

 

幸いなことに「絶対に引く方法」というものがこの世には存在しています。時価総額9万円相当のゲーム内通貨90,000ジュエルを使用して天井までガシャを回すことです。しかし、これを行うには今年国民の血税からペイバックされた給付金の9割を使用する必要があります。国民の皆様におかれましては、それは実に惜しい、と思うに違いありません。

 

もちろん、特定条件下でゲームをクリアすることである程度の石を無償で確保することができます。が、この無償で手に入れることのできる石の数には限度があります。手持ちの金銭を一切使わずにガシャを回し、低確率の限定P-SSR三峰結華を撃ち抜くには、尋常ではない運が必要になります。神の力が必要です。

 

そこで私は考えました。由緒正しく、それでいて三峰結華にふさわしい神社が、この地球上のどこかに存在しているのではないか。結果として、この趣旨に合致した、まごうことなき神聖さを持った神社が、ここ日本にありました。

 

 

 

 

 

三峯神社

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埼玉県の山奥にありました

   

この三峰神社にお参りすれば、その御利益で限定SSR三峰結華が無償ジュエルで確実に引けるのではないか?私はそう考えました。したがって、ここでガシャを引くことにしました。その検証結果をここに記します。

 

 

 

 

 

週末に思い立って声をかけたところ、アイマスのオタク2名が釣れたので、一緒にレンタカーで向かいました。もちろん、マスクは着用です。口を抑えるのは忘れなかったのですが、耳を塞ぐ方法を用意していなかったことを後悔しました。なぜなら、私が運転しながら車内で聞かされたドラマCDがこれだったからです。

 

 

買って聴いてください*1

 

 

 

 

 

車を走らせること3時間。三峯神社の駐車場に到着しました。急いで着替えてネクタイを締めます。結華のプロデューサーなので。

 

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記念撮影をしました

 

 

 

 

 

三峰神社の境内に至る前に、結華が私のアカウントにVISITすることを約束してくれるかのような看板に出会いました。次のグレードフェスも結華をセンターにしようと思います。

 

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境内に入る前に見えてくるウェルカムボード

 

 

 

 

 

途中、三峰結華が描かれているとしか思えない絵馬(縁結んじゃう系)があったので写真に収めました。髪色のCMYKがどう見ても結華です。Pの色覚に狂いはありません。隣の男性はどうやらヤマトタケルノミコトっぽいんですが、やはりこの偉大な王族も三峰結華担当であったことが証明されました。

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太古の三峰結華Pの姿がありました

 

 

 

 


きちんと本殿にもお参りをしました。二拝二拍一拝です。「担当の水着PSSRが事故なく引けますように」という煩悩にまみれたお願い事を3回ほど心のなかで唱えました。境内の写真については、これからガシャをすること自体不敬にあたるのではないかと思い二重の不敬を恐れた結果、撮影しませんでした。

 

 

 

 

 

境内を出たら三峰団子を食べました。串におみくじが付いています。中吉でした。なんとも言えないおもしろくない結果です。これを書く必要があったのでしょうか。ところで、肝心要のお団子については値段以上の美味しさでした。峠の茶屋で働く三峰結華さんもかわいいかったですね。緑の頭巾と前掛けが似合っていました。彼女が作るお団子は美味しいに決まっています。このあたりから、マスクをし続けているため酸素の供給が薄く、強めの幻覚を見るようになりました

 

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醤油の風味が広がったあとに、程よい甘みが訪れます。

 

 

 

 

 

夕方になると人もまばらになったため、いよいよガシャの時間です。とても見晴らしの良い茶屋の前にベンチがあったのでガシャを回します。ありがとうコカ・コーラ社。ここで撮った写真が非常にオタク味のあるものだったので晒します。黒い日傘は私が日光アレルギーのため防護策としてさしてもらいました。

 

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境内ではないのでセーフ

 

念の為、有償分含め、ジュエルは90,000個用意しました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず100連して、箸にも棒にもかからない「最低保証」の嵐に見舞われます。天気がいいだけに私の心はレイニーブルーでした。しかし、ようやく130連目で"流れ"を掴みます。

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圧倒的運値

 

S-SSR 3枚抜きの快挙を成し遂げました。いよいよではないかと、ついてきてくれたオタク2人も固唾を呑んで見守る中、ついにその時が訪れます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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(引けた瞬間のスクショ忘れました)

  

220連で来ました。あと10連x8回で天井です。

 

 

 

 

 

 

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天井に近い神域であることが図らずも証明されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいえ、担当が引けた瞬間の多幸感というのは、何物にも代えがたいものです。220連という試行回数についても実は無償石の範疇だったため、勝ちを得たも同然でした。カードが実装されてからネタバレを防ぐためにSNS上の情報を遮断してきた甲斐があったことも感じました。なぜなら、担当のドチャクソかわいい水着姿は私の脳みそをミキサーへかけるのに十分な破壊力だったからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは、これから結華と一緒にWINGを優勝してくることにします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

検証結果:三峯神社のご利益で限定SSR三峰結華は引ける。

 

 

 

*1:人の心がない

2020年上半期リリース楽曲 私的10選

 

 こんばんは。ちえぴです。

 

 はてなブログ上で、上半期楽曲10選を記したたくさんのブログを拝見いたしまして、ぜひ私も!と思い、久しぶりの更新です。

 

 既にはてブの特集で挙げられている楽曲を、私から再プッシュしたいという気持ちも大きく、ご紹介差し上げる10曲のうち3曲ぐらいははてブ公式さんのまとめと被っています。この3曲は元々私もクソデカい声でもって”マジでいい曲”であることを散々叫んできてはいたのですが、改めてそこが伝わればいいなと思います。

 

 アイドル楽曲から洋楽まで、この半年間で配信されてきたSpotifyのNew Releaseプレイリストの中でも、僕の心に刺さった10曲を厳選しました。ぜひ見て、聴いてください。

 

 こういう引用の場合の通例がわからないのですが ■歌手: 曲名 という形で掲げていきます。 では、やっていきましょう!

 

おしながき 

 

 

 

 

 

手羽先センセーション: 『ハロー・ブランニューミー』

 

 

 過去の記事でも紹介していますが、この上半期にリリースされたアイドル楽曲のなかで、他を寄せ付つけない眩しさをもって輝いていました。予見したとおり、やはり(僕のなかで)最強だったと思います。

 

 ちょうどこの曲がリリースされた頃は、コロナウィルス感染症で社会が混乱の入り口に立ったときだったと記憶しています。漠然とした不安が漂う中で「壁を乗り越えていこう」とする姿勢、自分の殻を破っていこうとする力を楽曲それ自体から感じることのできる、今聴くべきアイドリッシュな曲だと感じます。

 

 「さっきの女の子、」の『のいつも通り』と、この曲とで、どちらを挙げるかとても迷いました。前者はアイドル楽曲としてはかなりの変化球なので、「最強」とするのであれば王道楽曲であろうこちらが適任だろうと考え、選出しました。

 

 

 

 

 

緑黄色社会: 『Mela!』

 

 

 星野源やWANIMA以降、今J-POPで流行のBPM早め+元気はつらつ、という曲調を「緑黄色社会」がやったらこうなります!!と全力でぶつけてきてくれました。

 

 なんとなく某ジャンプ漫画を意識したような歌詞ですが、そういう印象を振り払って更にすばらしい物語を紡いでくれている高いクオリティのMVも必見です。サムネイルがド派手なネタバレになってしまっていますが、この絵が出てくる頃には胸いっぱいの愛が溢れていると思います。

 

 ただ元気!ってだけじゃないんですよね。ポイントは「自分はハチャメチャにちっぽけで、だけど……!」という「弱い自分に打ち勝っていく」ニュアンスが感じられつつも、心のうちに秘めた「誰かのためになりたい」という力強い意志・エネルギーを与えてくれるところだと思います。ちょっと斜めに倒れそうになる身体と心を支えてくれる、そういう曲ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

■Jacob Collier: 『All I Need (with Mahalia & Ty Dolla $ign)』

 

 

 Jacob Collierについて、私は今年に入るまで存じ上げなかったのですが、この人が作る音楽をなんと形容すべきかと問われたら、真っ先に思い浮かぶのは「宇宙」という言葉です。毎週Spotify New Releaseプレイリストを掘り漁るのが楽しみなのですが、たしかこの1曲が入っていた週は、他の曲を聴くのをやめました。それほど常軌を逸していると感じます、天才です。文句のつけようがありません。

 

 もしも音楽が「身体」を持っていたとしたら、Collierにはきっとそれを形作る前から完成した姿が想像できているのだろうと思います。どんな音で、どういう言葉の発音で、どんなリズムで、どういうコードの展開で、ということが、全て彼の手のひらの上にあるかのような楽曲です。

 

 その圧倒的な神性を裏付けるかのような演奏技術もCollierの魅力です。このMVからはあまり見ることができませんが、他の各種MVからは、彼ひとりでピアノ、ベース、パーカッション・・・・・・さまざまな楽器をプレイできるマルチな才能を垣間見ることができます。YouTube上にアップロードされているライブ映像も圧巻です。今ポップミュージックの宇宙を感じるなら、Jacob Collierです。

 

 

 

 

 

月ノ美兎: 『アンチグラビティ・ガール』

 

 

 ところで宇宙というものはだだっ広いらしいですね。けれども無重力だから、地に足なんか付きやしない。ひとりの力では呼吸すらもままならず、人類の英知をかき集めてやっとのことで二足歩行できるわけです。同じようにVtuberというものは、インターネッツブルーオーシャンながらも、実体や具体的なエコシステムを伴わない、フワフワしたものだと思っていました。月ノ美兎さんに出会うまでは

 

 実際のところ私は、彼女がこれまでたどってきた軌跡についてはその半分も知らないのです。ただはっきりしているのは、さまざまな重圧がのしかかっていた彼女が、Vtuberという仕事を「自分の天職だと思う」と名言していることで、それまでの紆余曲折あったであろう彼女の経験すべてが「今」「ここ」の活動に結集していることを示唆するかのような楽曲がこの世に生まれ落ちたということです。いえ、彼女自身が自らの経験と叡智を集結させようとしているのです。「今までのすべてを笑っていたい」という生きる希望に満ちた真っ直ぐな歌声は、月ノ美兎の過去と未来だけでなく、彼女の人間性をリアルに映し出してくれています。

 

 楽曲自体もAメロから独特の区切りやリズムで浮遊感を演出してくれています。謎の感動とでも言うべき終盤のリプライズでは超自然的な涙が溢れてきます。B級のドリームと人は笑うかもしれないけれども、そういう"圧"を跳ね除けて、月ノ美兎さんが前人未到で前代未聞の<存在=アイドル>になってくれると、私は信じてやみません。

 

 

 

 


■JP Cooper: 『Bits and Pieces』

 

 

  私がJP Cooperについて事細かに語るよりも、レーベルが掲出している彼のBioを読んだほうが、よっぽどためになるでしょう。とにかく信じがたいのは、一度聴いたら忘れないだろうたぐいまれな彼のボイスで、それも専門的な教育を受けることのなかった天性であるということです。

 

 朽ち果てそうになったときに、天から降り注いでくる一筋の光。そういう類の、灯火にも似たエネルギーを持った曲だと思います。やがて集まっていく光が見せてくれる景色を教えてくれない、というのもこの曲が持つニクいところです。 

 

 Spotifyで最初に聴いて、ゴスペル的な要素とポップスが上手に絡み合った名曲だと思っていたのですが、ここで紹介するためにYouTubeの公式動画をはじめてみたとき、低評価の数に驚きました。なぜにこれほど低評価が多いのか理解に苦しんでいました。が、それについて"underrated"と語るコメントたちも多数見受けられたので、ちょっと安心。

 

 

 

 


■ゆうらん船: 『鉛の飛行船』

 

 

 最初に聴いたとき、衝撃的で、とにかく聴き手を集中させるのがめちゃくちゃ上手だと思いました。語るよりも聴いていただいた方が早いところはあるんですが、瓦解しそうで脆そうなんだけれども、どこか安心感や懐かしさを感じる曲だと思いませんか。

 

 それはまるで、まだ自分が小さかった頃の記憶に近い感覚です。ほぼ日が沈んだ薄赤暗い住宅街を、とぼとぼと歩き、近所の家から香る食事の匂いから夕飯に思いを馳せる……なぜだかわかりませんが、そういう経験を彷彿とさせます。

 

 そういう大衆的な感覚を呼び覚ましてくれるのですが、音楽的にはぜんぜんオーソドックスではなくポップスとしてはとても実験的で、めちゃくちゃおもしろい楽曲だと思います。まだ無名っぽくて、YouTubeの公式chの登録者数も272人と少ないため、ぜひ登録してあげてください。 

 

 

 

 


■シャイニーカラーズ: 『シャイノグラフィ』

 

 

 皆さんはアイドルマスター シャイニーカラーズをプレイしていますか?この項までたどり着いた皆さんは、今すぐ無料登録してプレイしてください。シャイノグラフィについて語るのはそれからにします。公式YouTubeチャンネルの登録者数が10万人を突破した今なら10連ガシャが毎日無料ですから、始めどきです。

 

 こういう狂信的オタク態度をとると、すぐ後退りする方がいらっしゃいますね。そう、そこのアナタです。貴方をこの項に引き止めるために、この曲の素晴らしさを端的に説明しましょう。たとえば、未熟だった雛が成長して今まさにこれから飛び立とうとする姿はいつ見ても情動を揺さぶられるでしょう。これです。シャイノグラフィが伝えてくれるのは、この美しさです。

 

 この曲の歌詞がいかにエモいかというのは、演者(声優)の皆さんやプロデューサーの同僚の皆さんがこれでもかと語ってくれていますので、私からはインスト面で好きなポイントをひとつ上げます。1度目のサビに入ったときのドラム。今まさに駆け出してく、という疾走感がここに集約されていますし、この楽曲がコンテンツの2年目に投入されたという事実もまた、アイドルたちが描く軌跡と情景をより一層強固な印象へと仕立ててくれます。15周年を迎えたアイマスコンテンツのなかでも、ひときわ大きな人気の旋風を巻き起こすが約束されているシャイニーカラーズの活躍をぜひその目で確かめてください。

 

 

 

 


■VIZE, Tom Gregory: 『Never Let Me Down』

 

 

 一時期、一世を風靡していた(と勝手に思っている)Meduzaの『Piece Of Your Heart』を彷彿とさせる声ネタ感とローが効いているシンセベースが大好きです。どちらもデカい箱で聴いたら全員ブチ上がり間違いなしの良質なクラブサウンドですが、どちらかというとこの『Never Let Me Down』の方が今のEDMシーンをよく表していると思います。

 

 このMVの冒頭でも名言されていますが、ロックダウン下の街で製作されたということで、そういう制約の中でも音楽やパーティの火を絶やさないようにしたいという意志を感じますね。いつかまたサマソニやSONIC MANIAのようなイベントに足を運べるようになればいいな、と思うばかりです。

 

 

 

 

 

 

King Gnu: 『Teenager Forever』

 

 

 最初に『Player X』などを引っさげてポップスシーンに登場してきた彼らに対して、私はずいぶんと斜に構えて聴いていたのですが、いわゆるトーンクラスタみたいな音の重ね方だったり、異次元の進行だったり、ボーカルの高低さを利用した印象の与え方だったり、楽曲それ自体の構成だったり……リリースするたびに挙げたらキリがないほどの魅力があることに気付かされてきました、King Gnu

 

 何より強烈だと思うのは、それらが唯一無二で、どんなジャンルだろうと聴いたらすぐに「これはKing Gnuだよね」とわかることでしょう。商業音楽という戦国の舞台を生き残るために必要なピースがすべてここに集まっているかのようにすら思えます。中でも、この『Teenager Forever』は、いわゆる10代の象徴としてよく掲げられる透明にも似た青春感とはまた別の、有り余ってほとばしる熱情を表現していると思います。King Gnuの楽曲のなかで、一番好きな曲です。

 

 

 

 


■藤井風: 『帰ろう』

 

 

 King Gnuと同じくJ-POP界に彗星のごとく現れた、と思っていたのですが、この藤井風という青年の活動はYouTubeでの活動が原点でした。ほぼ独学というピアノ弾き語りのポップスアレンジ動画で人気を博し、多様なジャンルのエッセンスを多分に含んだ自作の楽曲とともに、今年メジャーデビューを果たしました

 

 あえてチープに例えるなら宇多田ヒカル以来の才能でしょう。日本語詩では到底不可能だと思われていた領域のレベルで現代的なリズムを刻み、古きと新しきを兼ね備えた音楽性とその歌唱センスには脱帽しかありません。これ以上聴いていると余計にハゲます。ほんとにゴーストライターいないの?すごすぎる。音楽をやめたくなる。助けてくれ。

 

 本来であれば、彼の代表曲である『何なんw』を紹介するべきなのでしょうが、今年1月に公開されてまもなく500万という再生回数に辿り着く楽曲を改めて紹介する必要があるかと問われたら、私はNOと答えるでしょう。ということで、同楽曲の収録されたアルバム「HELP EVER HURT NEVER」の締めにあたるこの『帰ろう』を選んできました。小気味の良さばかりが注目されがちな彼ですが、この『帰ろう』からは圧倒的な自力を感じます。非常にアコースティックな編成――わずかなパーカッションと自分の声、それにピアノとストリングスで、ここまで進行力を作れるのかと驚愕し、サビの開放感・美しさに何度瞳を潤わせたことか。特にこの曲はできるだけ大きなスピーカーで聴いてほしいです。完全に私見ですが、当分はKing Gnuと藤井風が日本の音楽シーンを牽引するだろうと見ています。

 

 

 

 

 

 

 以上ごった煮の10曲、いかがだったでしょうか。最近は忙しくてNew Releaseのすべてを追えてはいないのですが、これからも新しい曲にたくさん出会えたらなと思います。Spotifyに感謝。

 

『行く先、手羽先』にもっと羽ばたいてほしい

 

いや~~~名古屋めしは本当に美味しいなぁ、僕はね、世界の山ちゃん手羽先が大好きでね。ここで飲み会するのがホントに好きなんですよ。あ、西尾抹茶割ひとつ!でね、手羽先をセンセーショナルにしたのが世界の山ちゃんだと僕は思っています。

 

へ?それは違う?アイドルグループ?何の話ですか?

 

 

 

 

 

そうやって聴かされた1枚のアルバムがありました。

手羽先センセーション、メジャーデビューアルバム『行く先、手羽先』

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そう、そんなプロローグがあったら良かったんでしょうけどね。

 

このアルバムに出会った経緯は、実につまらない軌跡でした。僕のタイムラインにいるオタクが偶然RTしてきて*1、偶然Spotifyで聴けた。けれども"たったそれだけ"で、このグループを猛烈にプッシュしたくなったんで、このブログを書きます。

 

本アルバムを聴いてみたら分かる通り、きっとこのグループが描いてきた軌跡がつまらなかったわけがないでしょう。このアルバムがどんなアルバムかと問われたら、僕は手羽先センセーションがもっと輝いていくことを教えてくれるアルバムだ」って答えると思います。毎週SpotifyのNewRelease機能を駆使しながら、今までにいろんなアイドルグループの新譜を聴いてきましたが*2これまでの苦難とこれからの希望がこんなに目一杯に詰まってる1枚は聴いたことがありません。

 

実のところ、僕はこのグループについて名前ぐらいしか知らなかったし、メンバーの顔すら見たことがなかったから、古参のファン=オタクたちからは「何を知ったようなことを」と言われるかもしれません。その通りだと思います。だからあえて僕は、公式のホームページとTwitterアカウントの紹介しかしません。彼女らについて、僕はまだその多くを知らないから。

www.tebasen.com

twitter.com

  

語らないのにはもうひとつ理由があります。それは、まず曲を聴いてほしいからです。『行く先、手羽先』は奇跡的なクオリティです。僕は、このアルバムが聴く人に見せてくれる景色を、信じます。運営公式アカウントが「楽曲派の顔つきになる」なんて面白いことを言っていますが、そのように言葉を尽くすことがナンセンス(決して運営をdisっているわけではなく)だと思うほどに、各々の楽曲が感情とストレートに相撲をとることができるパワフルさを備えている、と感じています。この書き方だと「ただ"曲が"すごい」と解釈されることがあるかもしれません。もちろん曲の作り方について面白いと感じる部分はいくつかあるけれども、それ以上に、メンバーのパフォーマンスによって「この曲をこの人達が歌う意味がある」と思わせてくれることが、このアルバムの何よりの魅力だと僕は思います。

 

同じセンテンスを繰り返すようですが、こんなに未来を向いているアルバムは後にも先にもこの一枚かもしれないんです。閉塞感を感じるご時世でもあるからこそ、今、聴いてください。2020年度のアイドルフラグシップミュージックです。

 

 

 

さて、ここから先はオタクの感想文です。たぶんこっちのほうが読みたい、と思う人が一定数存在するのではないかと思いますので、あとは適当にやります。需要に応じて、せっかくなので、このアルバムに入っている全曲について一言ずつ感想を書いていこうと思います。真面目なレビューではないかもしれないことを先に断っておきます、お許しください。

 

 

 

1. Opening

まず冒頭と終わりに謎のおっさんの声で「Yes,手羽先センセーション」って入っています。最初ポセイドン石川*3っぽいな、などと思っていたのですが全然違いました。高須医院長でした。

Openingでアイドルさんのコンセプトがわかるような音作りだとめちゃくちゃ高まる。いやイ"ェ"ッ"タ"イ"ガーとかじゃなくて。このアルバムにおいては、手羽先センセーション(以下手羽セン)はこのイントロのバンドサウンドで曲を切り盛りしていきます。

 

2. ハロー、ブランニューミー

手羽センのニューアルバムが奇跡的だ、と思う理由がこの曲に詰まっていると思います。欲しいなと思う音色が全部入っているからです。曲自体は超王道の曲だと思います。ベースラインが面白いことを除いて、特に難しいことはやっていないと思います。

王道で聴かせる、ということが実は一番むずかしいはずなんです。最後まで聴かなくても良いかなって気持ちにさせられちゃうのも少なくない。例えばSpotfiyのNewReleaseを全部聴こうと思うと、だいたい60曲で4時間かからないぐらいです。4時間もダラダラ聴いている時間があるかというとちょっと微妙ですよね。そうなると、開始15秒以内で「あんま面白くないな」と思ったら、次の曲へ飛ばしてしまうことも少なくない。けれども手羽センの楽曲群は途中で聴くのをやめようと一切思わなかったんです。もしあなたが曲を聴きながらこれを読んでくれていたら、きっとこの箇所を読むまでは聴いてくれているはず。今僕も聴きながら書いているけど、全部聴いちゃいました。ぶっちゃけ言うと2週目です。

このように聞き手の耳に訴えることができるのは、メンバーひとりひとりの声色がすごく魅力的だからなんじゃないでしょうか。歌割りが天才的です。ちょっとステレオタイプではあるけれども、アイドルソングと聞いてイメージするいろいろな声色がこのグループにすべて集められていると感じました*4。この意味で、本アルバムの魅力が引き出されるためには誰一人として欠けてはいけなかった、と思います。各々がこういう歌い方でポジション取りをするようになったのもすごく時間がかかったんじゃないか、とも思うと涙を禁じえません。え、妄想ですか?いやいや、オタクの醍醐味は妄想のシェアですよ。

少し話がそれましたが、もうひとつ大切だと思うのは歌詞。このナンバーに限らず、アルバムを通して、歌詞に「曲を聴いてくれている人たちへのエールであると同時に、メンバー自身の気持ちを綴っている」両面性が含まれているように感じました。手羽センの行く先が眩しく感じるのは、ここに大きな理由があるのかもしれません。

 

3. 未完成日記

ちょっとの間だけ文体を崩します。僕この曲がマージで大好きで。だって知ってるもん。最初のピアノ5音とギターの音が聴こえてきた途端に、「ア゛~~~ッ」ってクソデカい声出しながら、膝から崩れ落ちるタイプの曲だもん、これ。勢いよく崩れ落ちすぎてライブごとに膝の皿割っちゃうかもしれんわ。

よくクラシック音楽でも用いられるんですが、ちょっと"天空感"とか"高層感"を出すために、中低音を抜いて比較的高い音域だけで曲のシーンを構成することがあります。斎藤まなかさん(であってますよね?*5の青空を一閃切り拓くような歌声も、このシーンの良さをグッと引き出してくれています。

どうしてクラシック音楽を引き合いに出したかというと、全体的にオーケストラサウンド*6が映える曲だったからです。加えて、バンドサウンドもとても上手に融合できているように思えます。特に大好きなのは、イントロを抜けるときにティンパニが鳴るところ。これが入るだけで、世界開けていく感が100%濃縮還元されて聴こえてくる。アニソンとかでも結構使われている手法だとは思うんですけど、ここまでしっかり高低差が出せている曲は珍しいんじゃないかと思います。

兎にも角にも、今に満足せず邁進する人たちすべてに贈りたい一曲です。

 

4. 革命のセンセーション

一瞬だけ文体を崩します。キタキタキ(中略)タキタキタキタキタ!!

冒頭だけで超面白くないですか。これ流れてきたら「おっ、なんだこれ」って思いますよ。チャイニーズ旋律っぽいけど、ベースは首領蜂*7っぽいし、ユーロビートっぽい雰囲気になったかと思ったら小鼓まで聴こえてくるし。このままだらだら説明していると8,000字超えそうなので割愛しますが、要するにメロディだけでも日本サブカルチャーシルクロードの「道の駅」となっている名古屋の魅力が詰まっているんです。

「ご当地」が足枷になることもあるんじゃないだろうかと思う昨今で、これほどまでご当地名古屋をプッシュする楽曲はもはや宝刀以外の何物でもないですよ。全部、聖地巡礼したくなりますもん。ライブで曲の通り合いの手があったら、ものすごく楽しそう。あとアウトロがダサい(褒め言葉)。

 

5. 満開サクライロ

この曲もホント大好きです*8。アルバムの中盤だし、そろそろバラードでも来るのかなという雰囲気で始まったかと思ったら、まさかのaccel。よくよく聴いてみると心臓のビートが聴こえていて、春という季節への期待感と今にも駆け出したくなるような疾走感が、このaccelとともに見事に表現されていると思います。よくアイドルさんの楽曲で、脈絡のないテンポチェンジが散見されるんですけど、個人的にイマイチしっくりこなくて、accelするっていう選択肢をメジャーの最初のアルバムで出してくるのは、もう「最初はグー」のタイミングでパー出して勝ちに行くようなもんですよ。勝負する前に勝ちです。

この曲はなんと言ってもサビ。めちゃくちゃ魅力的ですよね。サビの入りでギアチェンジ感があり、めちゃくちゃカッコいい。まだちゃんと聴き分けられないのでどなたかがわかってないんですが、大サビの巻き舌も好き。サビのラスト「春爛漫!」で桜の花吹雪が水色の空へ羽ばたいていく様子も目に浮かびます

 

6. 夏情気性

春ときたら、夏。最近のアイドル恋愛ソング感が強い一曲です。この曲も王道で、キャッチーなフレーズ。曲が進行すると、リズムが変わったり、フックになる音が違ったり、同じ景色は見せないぞという意志をこれまで以上に感じる曲です。恋愛だってそうじゃないですか。同じ人間関係なんてないんですよ。急にどうしたんだ?そりゃそうもなります。この明るい曲調で夏が嫌いだって言うんですもん。あんなにキスもしたのに!

しかし笑っちゃったのが、曲の終わり際で吹っ切れたようにギターが超絶技巧始めるところですね。いやそこでかますんか~いってなりました。ある意味で失恋した人ヘ前を向いてもらうためのソングになっているように思えます。

 

7. ニコピの方程式

MVが(ここでクラップ)可愛い!冒頭の数秒で多幸感すらあります。見る麻薬。このMVの好きなところを壁紙にしたら在宅勤務もきっと捗るんじゃないでしょうか。

このアルバムの中で一番カワイイ感じの曲ですね。タイアップなども決まってるみたいで、力入ってるなぁと思います。売れそう(小並)。馬鹿野郎、今まで聴いてきた曲は全部売れるわ。売れないほうがおかしいわ。ただ、知られないことには話にならないことを最近痛感しており、誰かがタイムラインで叫び続ける必要がありそうだと思うので、売れるまで1日754回ぐらい「やっぱ手羽先センセーションだなぁ~」ってツイートしよう。いや僕ひとりで754回つぶやかせるつもりですか?あなたもやるんですよ。

曲調とかは言わずもがななので置いておいて、振り付けがとにかく可愛い両腕で窓から顔を覗かせるような振りがあるんですが、そのタイミングが一番好きですね。MVの3分59秒ぐらいからバッチリ振り付けを見せてくれるシーンがあります。ご確認ください。振りコピ部の予習用としても大変実用的です。

 

8. 足跡 -Ashiato-

絶妙な和音だったのでAメロを100回ぐらい再生した。まぁ、細かいところは置いておきましょう。タイトルの通り、今までを振り返るような曲です。これまで聴いてもらったらわかるとおり、2~5曲目がアンセムてんこもりセットだったとしたら、6~8曲目は青春ソング詰め放題という感じですね。

サビにロングトーンが出てくるのもこの曲が初めて、のはずです。自分たちが来た道を振り返ったときの、得も言われぬ情感がサビに詰まっています。『行く先、手羽先』をリリースした今が山の頂上だとしたら、頂上からさまざまな山道を眺めているような気分になる、そんな1曲です。

何よりエモい*9のは、この曲のあとにGoodbye, graduation!が入っていることです。この曲はGisで終わります。Goodbye, graduation!の始まりの音はAです。この足跡-Ashiato-があって、はじめて次の一歩を踏み出せるんです。

 

9. Goodbye, graduation!

この曲のイントロが聴こえてきたら、興奮から膝を抱え込んでアルマジロのごとく床を転がりまわる自信があります。現場では絶対にやらないでください。

この曲はタイトル通り、卒業ソングとして位置づけるべきかなと思います。聡明な読者の皆さんは既にお気づきかと思いますが、この曲のイントロは、学校の始業終業のチャイムと同じ音形です*10。落ちサビにも今まで使われていなかったオルガンの音が入っています。そういう音色の選び方も然り、このアルバムのリーサル・ウェポンとして相応しい完成度です。

この曲だけ、2人1組(3人1組?)のユニゾンで歌っています。ここでもメンバーの個性豊かな歌声が絶妙な融合を見せていて、どのメロディを聴いても飽きません。ユニゾンの様子を聴いていると、合唱曲にしても面白いのかもしれないなぁと思います。もしもし文部科学省ですか?音楽の教科書に載せたい楽曲があるんですけど*11

サビで5人になることで生まれるエネルギッシュさと旋律のコンパクトさから、これまで出会ってきた大きな感謝を伝える気持ちと共に振り返ることなく次に進もうとする姿勢を感じることができます。「大好きだよ」のワンフレーズだけ残して幕を閉じる、とても良い曲です。このアルバムを通して聴けてよかった、素直にそう思えます。

 

 

 

 

 

さて、ここまで読んでいただいた方は、きっと今頃は手羽センへの気持ちがより一層強固なものになったかと思われます。そんなあなたに朗報です。今日4月12日までにこのアルバムをお買い上げいただくと、なんと現場で使えるチェキ券がもらえます!

www.tebasen.com

でも、店舗限定とかでしょ?今は外出自粛期間だし、無理じゃん……とお思いのそこのアナタ!ご安心ください、購入サイト・購入店舗は問いません!!つまり、オンラインショッピングでも可!!!ただしメルカ○などの中古販売サイト、てめぇはダメだ。手羽先でタコ殴りにされたくなかったら大人しくしろ。

 

まるで回し者のような言い回しですが、僕は今まで一度も現場に行ったことがないので、ほんとに手羽センについて無知です。が、ただひとつだけ確かなことがあります。それは、今このアルバムを買えば実質無料になる、ということです。

 

tower.jp

 

 

 

このブログの冒頭で、シェアすることを"たったそれだけ"のことだと書きましたが、本当に"たったそれだけ"で、その手羽先をマジの大きな翼に変えて羽ばたけるかもしれないとしたら、積極的にシェア・発信するしかありません。それが、現場のないオタクができる最大限の応援だと僕は考えます。このすばらしいアルバム『行く先、手羽先』にもっと羽ばたいてほしい、と切に願います。

 

 

 

*1:RTをしてくれたゆつきくん、本当に感謝します

*2:もちろん、僕の知らないグループもたくさんあるかと思います。ぜひ皆さんのオススメを教えて下さい。ちゃんと全部聴きます。

*3:https://twitter.com/pose_inc?s=20

*4:このアルバムを聴いている時点で僕が一番好きな歌い方をしているのは橋本琴春(はしもとこはる)さんです。かっこいいです。

*5:もし間違えていたら大変申し訳ありません、どなたなのかを教えて下さい。。。

*6:ストリングスの音源がちょっと残念だなと思うシーンがあって、ぜひ生オケでやってほしいなぁなんて。いくら金がかかるとかは完全度外視ですが…。

*7:ATLASの作った鬼畜STG。BGMも魅力のひとつ。

*8:っていうかもうここまで来たときには、刺さらない曲がないなと直感で気づきました。

*9:貧弱な語彙力-100点

*10:今の時代はチャイムが鳴らない学校も多いみたいですね。僕が通っていた学校もチャイムが鳴らない学校でしたが、当時としては異例でした。

*11:ただ、このテンポ感でやるのはちょっと酷かもしれませんね。少なくとも伴奏はやりたくありません

心に効く総合百貨店、クマリデパート

 

 

「心の総合百貨店」のご紹介

こんばんは。ちえぴです。

最近コロ○ウイルスの話題ばかりで参ってしまいますね。弊業界も打撃を受けており、気持ちが塞ぎ込んでしまう日々が続いておりますが、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

きっと皆様のハートのボリュームも急降下してしまっているのではないかと思います。今日は、そんなブルーな日々に痛んでしまった心へ、最良の処方箋を出してくれる総合百貨店を紹介したいと思います。

 

総合百貨店はズバリこんなところですね。

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一般的な総合百貨店の図

ハイブランドなアパレルに絶品料理、ここに来れば間違いなく晴れやかな気持ちになります。しかしながら今回ご紹介するのは、そんな虚栄心ではなく、空虚な心を光で満たしてくれる、こちらの総合百貨店です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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総合百貨店?

 

この総合百貨店の名前は

クマリデパート 5thワンマンライブ

ニューヤングパワーマックス

5000%特盛

レッドヒルブリッツにおいでよ!

こころのデパート

 

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ココロのデパート

 

そう、ここはココロのデパートクマリデパートワンマンライブ

ようこそ、新しい時代の幕開けへ。

 

 

 

 

 

今回の記事は、2020年2月28日に開催されたクマリデパートワンマンライブの超簡易レポートです。ちなみに私は新参者の中の新参。知り合いから教えてもらった『極LOVE浄土』をSpotifyで聴いて以来、ずっとライブを見に行きたかったという通りすがりのオタクです。

 

 

 

 

 

クマリデパートとは

クマリデパートはさまざまなアイドルグループ音楽Pを担ってきたサクライケンタさん率いるekmosがマネジメントをしているグループです。名前のクマリについてはイマイチ詳細が分かっていないのですが、恐らくはネパールの現人女神を意味するKumariから来ていると考えられます。この記事によると、クマリを写真に収めることは固く禁じられているようです。アイドルと同じですね(は?)

reindeersroundtheworld.com

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画像は上記記事から引用

そんなクマリがデパートなので、クマリデパートです(は??)

 

 

 

 

 

ざっくりとしたメンバーの紹介

 

後述するように、旧体制のクマリデパートメンバーは以下4名でした。

 

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長く追いかけていた訳ではないので、それぞれのメンバーについてはTwitterのリンクから飛んで見てくれたほうが早いと思います。私は落ちサビ担当大臣こと楓フウカさんをプッシュしています。なお4月上旬から新体制になり2名追加され、6名での活動を志していくことになります。

 

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1度メンバー追加のオーデションで「合格者なし」という決断を経ての2度目のオーディションで選ばれたことだけあって、パフォーマンスの面でもかなり期待できそうなお2人でした。ちなみに僕、ラーメンが好きなアイドルは全員好きです(麺推しDD)。

 

 

 

 

 5thワンマンライブレポ

さてこのクマリデパート、ワンマン開催自体は文字通り5回目。おそらくは○ロナウイルスの影響がなければ人で埋め尽くされていただろうと感じるぐらいには、箱は埋まっていました。この状況での開催にさまざまなご意見があることは重々承知ですが、少なくとも僕はクマリデパートのステージに救われました。エンターテインメントの底力と、それが人に与える活力を感じることができたからです。なおすべての曲について記すと文字数があまりに増えすぎてしまうので、書きたい曲だけ書きました。

 

 

  

セトリはイントロ楽曲の『おいでよ!クマリデパート』からスタート。

この曲、ステージを見る前と見た後とで全然印象が違って、ステージを見る前に聴いても正直「単なるかわいいイントロソング」 としか思わなかったのですが、ステージを見た後だと「クマリデパートが良かった思い出」が想起されちゃって本当にダメ。「あなたに笑顔を届けてあげる」って歌詞がもう本当にそのとおり(?)で、その裏で流れておる対旋律がめちゃくちゃエモい。これを聴くともう一度ライブ行きたいなって気持ちになります。

 

2曲目は『シャダーイクン』。伝家のアイドル宝刀作曲家・玉屋2060%さんの曲です。サビはうまくシンセの音色と絡むようになってるし、Bメロはちょうどメンバーの音域を避けるような中低音のストリングスが入っていたり、妙技が垣間見えるのと同時に玉屋さん特有の「2度目のサビに入る際の意味不明な転調」や「再帰的なDメロ」なども感じることができます。天才の仕業です。

 

ところで私、実はMVも見ずに曲だけ聴いてワンマンに臨んでいたので、振り付けについては全くノーマークでした。実際にステージで踊っている姿は、シャダーイクンに限らずすべての曲でわかりやすくも天真爛漫さがビッグバンしていて、とっても見応えがありました。オタクの大好きな振りコピが捗りそうです。

 

その後は新曲の『サクラになっちゃうよ!』『ネコちゃんになっちゃうよ~』を交えつつ、既存の曲をじゃんじゃん惜しみなく披露。一応ここでは新曲の2つをご紹介。『ネコちゃんになっちゃうよ~』はこのライブが初出しだったようですが、クラブミュージック好きの心をくすぐる様々なネタが仕込まれていて、ひとりで超絶飛び跳ねていました。

 

いよいよ待ちに待った、私がクマリデパートに行くキッカケになった曲『極LOVE浄土』。ちゃんとこの曲専用の衣装で出てきてくれて感激しました。『極LOVE浄土』専用のイントロ兼メンバー紹介のMV*1でめちゃくちゃ高まっていた。「クマリデパートでオススメの曲はなんですか」と訊かれたら真っ先にこの曲を紹介します。この曲がクマリデパートのもので本当に良かった。この4人で歌っているからこそ出せるディスコサウンドとの絶妙な「違和感」と「完成度」がほんとすごくないですか??オタクもっと騒いでいいですよこの曲。キタキタキタ~~~ってなって良いタイプの曲だと思うんですけど。いやイエッタイガーとかではなくてですね。MVもCDジャケットも最高なので載せておきます。1人108回再生してください。

 

 

アンコール前は『眠れない夜は』で〆。この曲もほんと大好きで、フウカさんの声質がめちゃくちゃ生かされていると思います。これでセトリを一旦〆るのエモエモエモのエモじゃないですか??俺たち眠れないんですよこの夜を。気持ちを爆上げさせておいて寝させてくれないんですわ。クマリデパートの歌が響き渡るもんで眠れないもんで。…クラブイベントのセトリは終わりに向かってだんだんと落ち着いた雰囲気にすることもあって、まさにそういうセトリの組み方をしてくれたんじゃないかなぁと思います。

 

なんでちらっとクラブイベントの話を出したかというと、クマリデパートは全般的にクラブミュージックに馴染みのあるシンセやベースのサウンドが多いです。ライブを経て「クマリデパートはデカい音響設備で聴いた方が楽曲の良さが引き出される」のを確かめることができました。そういう音楽とともに、メンバーの溌剌としていて元気なパフォーマンスでみんなが一緒に盛り上がれたら絶対に楽しいと思いません?そう、めちゃくちゃハッピー。心にマジで効く。久しぶりに「グループのもつ全ての曲・パフォーマンスが好き」っていうアイドルに出会えたと思います。

 

 

 

 

 

この日、クマリデパートが赤坂BLITZで見せてくれたもの

明日を生きようとするエネルギーを貰えるだけのステージに出会えることってなかなか無いと思いませんか。世間の状況も加味してはいますが、このワンマンで感じることができたのは、ステージに関わるいろんな人たちの努力やメンバー4人の一生懸命さでした。それが感じ取れるステージというのは演者の集中力がすごいし、観ている人の集中力も切れないはず。実際に僕は時計を見る暇もなかったぐらいに、クマリデパートのステージに夢中になりました。パフォーマンスを見て明日も頑張ろうと思えました。そういうエネルギーをもらえるエンターテインメントを間近で感じて初めて、単なる「楽しかった」ではなくて「ステージを観にきてよかった」になるのだと僕は考えます。「楽しい」場所なら、他にいくらでもありますから。ぜひ一度、ライブに足を運んで見てください。クマリデパートを推すなら今です。

 

 

 

 

さいごにご紹介

そんなクマリデパートのホームページはこちら。

www.qumalidepart.com

 

Twitterもあるので見てくださいね。リリイベ関連情報はここが一番早いです。

twitter.com

 

 

 

おしまい

 

 

 

 

*1:着替えのための時間稼ぎ?何を言っているんですか?超絶人気楽曲のために作られた特製MVであると信じてやみません。