ディアステ旅行記

 

0, はじめに

 これは、僕が先日ディアステージに初めて潜入したときの事をまとめた体験記です。

 

まずみなさんにご紹介差し上げたいのは、僕がリスペクトをしてやまない神崎かずとくんの初ディアステージ体験記post群です。次のリンクから一連のpostを見ることができます。

https://twitter.com/kanzaki0813/status/971082604408594433

 

 彼の作品が、その有り余るエネルギーと愛とによって生み出されていることは、語るまでもありません。僕はこのpost群を読み、これほど信頼できるオタクはいないと頷き続け、かれこれ1ヶ月が経とうとしています。人間はここまで赤べこ*1に近づけるものなのかと、僕自身驚いています。

 

 前置きが長くなりましたが、つまるところ僕も自分自身の気持ちを整理するために、ディアステージで見て・聞いて・感じたことをひとつの文章としてまとめようと思った次第です。僕はオタクとしての経験値やパーソナリティの比率が低い方なので、ディアステージでの体験は初めてまみれでした。だからこそ語弊や批判を恐れることなく、思ったことは全部書き留めようと思います。

 

 僕がふうりさんたちと出会うのは、目次でいうところの3からになります。1~2は、ディアステのカフェへと至るまでの些細な出来事になっているので、飛ばして読んでもらって構いません。ただし、もし仮にまだディアステージへ行ったことがない人が読むのであれば、ぜひ最初から読んでいただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

目次

1,はじめまして、ディアステージ

2,ステージと"ヲ"タク

3,地に足付かずの喫茶

4,ワンスアポンなドリーム

5,ツーチェキという実存

6, 待望と邂逅

7, またね、ディアステ

 

 

 

 

 

 

 

1,はじめまして、ディアステージ

 僕がディアステージに行こうと思った理由はいくつかありますが、先の神崎くんのpostに加えてアイカツの歌唱担当を推している皆さんからの評判が良かったことと、人生という限りある時間の中で僕がまだ若さを保っている間にふうりさんとツーチェキが撮りたかったこと、この2つが大きなモチベーションとして挙げられます。

 

 武道館後の感想戦も含めて、僕をアイカツの世界へと引き入れてくれた連番相方Bobくんと一緒に行きました。僕はふうりさん、Bobくんはれみさんを推していて*2「推しがいなければ行かない」という契りだったのですが、蓋を開けてみればふうりさん・れみさんだけでなくわかさんまでもが出勤という、もう我々が今日ここに来ることを予期していたかのような運命的状態だったので、「もうこれは行くしかない」と覚悟を決めてディアステージへと向かいました。

 ディアステージへと向かう道中、緊張のあまり、我々は「2001年宇宙の旅」に出てくるような原始状態のモチーフである猿であり、ディアステージはモノリスなのではないかという集団幻覚に苛まれましたが、人類の叡智であるGPSが無事に我々を導いてくださいました。

 極彩色で彩られたシャッターの横に、人ひとりが入れるぐらいの小さなガラス扉がありました。我々が覚束ない足取りでひょっこりひょこひょこと奥を覗き込みますと、どうでしょう、れみさんが1階のバーカウンターにいるのを視認できてしまいました。ここで緊張と不安が入り混じった感情のマグマが、沸々と湧き上がってきて、局地的に噴火警報レベル3というところまで来ました。気象庁も相当に焦ったことでしょう。

 我々は肉体の天変地異を収めるべく神に祈りを捧げ始め、30秒ほど入り口周辺をのたうち回ったあと、兎にも角にも受付の人にシステムについて聞いてみようということで、現実と夢との境界線を跨ぐことにしたのです。受付の方に早速、ここに来るのが初めてだということを伝えると、受付の方は感謝の気持ちと共にディアステージのシステムについて優しく教えてくれました。ここに来た理由を尋ねられたので、咄嗟に「アイカツの歌唱担当に会えるから」と答えてしまいました。嘘をついてもしょうがないのですが、アイカツについて語ることは憚られるのではと思っていたので、ディアガ*3にあっさり「私もアイカツがきっかけだよー」なんて言われてしまったのは正直意外でして、少し心の荷を下ろせた気がしました。恐らく我々のような猿……原始アイカツ人類を指すのであって、自己保持の為のアイデンティティ兼自己表現を成す為に暴れまわる免罪符という意味でのオタク=カテゴリーを意味しているのではない……が既に多数ここを訪れていたのでしょう。それがリップサービスだったとしても、僕はその一言で落ち着きを得ることができたので、受付のディアガの人には感謝しています。お名前を伺うのを忘れていたのは僕の失態でしょう*4

 

 

 入場料とドリンク代を含んだ千円札を渡して、ドリンクチケット代わりの缶バッジを受け取ると、2階3階に行くには会員登録が必要との案内を受けたので、最新鋭のタッチパネル付き文鎮*5で会員登録を頑張って済ませました。

 さて、れみさんとお話をしよう、とおもったその時でした。フロアが暗転をして、舞台にスポットが当てられたかと思ったら、次の瞬間にはどこからともなくディアガが召喚されていました。

 

 

 

 

 

2,ステージと"ヲ"タク

 我々が慌てて端に寄ると、怖くないからもっと奥に入りなさいとPAの方が促してくれました。ディアガの次に僕の目へと入ってきたのは、どこかで見覚えのある呪文が書かれた張り紙類や、戦闘準備を開始するオタクたちでした。ステージが始まってまず驚いたのは、距離の近さ。演者の身近さを錯覚させるには十分な距離感でした。歌は皆さんお上手でしたが、そこが問題にならないことはすぐにわかりました。ステージが始まるとオタクたちは謎の合図と共に詠唱を開始、演者の動きに合わせて身を唸らせ始めたからです。これがいわゆるMIXでした。

 ステージ中央から前方にいるオタクたちはほぼ全員が動きを合わせていて、謎に満ちた詠唱も完璧でした。たぶん前頭指揮している人がいて、それに合わせているのだと思いました。指揮はいわゆるTO的ポジションの人なのかなと想像します。あまりの統率感に、日本の義務教育がなす技だ、とゆとり世代の僕は思いました。

 しばらくステージを見て唖然としていると、僕はあることに気がつきました。訳が分からないと感じていた「絶叫」がここでは文化として根付いている、ということです。僕とBobくんは、目の前で跋扈するオタクたちを見て、ここが本場か……と思わず言葉を漏らしました。これが本来のオタク的姿であるとも思いました。いわゆる"ヲ"タクという表記によって奇怪とも取れる様子が揶揄されてきた勇姿がそこにありました。

 念のために記しますが、僕はこの文化が外に持ち出されたときの正当性を示したいわけではありません。「郷に入らば郷に従え」とはよく言ったもので、あのディアステージのフロアにいた瞬間は「ヲタ芸」をやる意味が見出せた、この場所には文化的背景があるのだということを、身を以て知れたまでです。棒立ちすることがディアステージの皆さんに失礼なのではという焦りすら感じました。それだけの集合的沸騰*6を肌で受け止めることができた、ということです。

 

 

 

 

 

3,地に足付かずの喫茶

 ライブを見終えて、さぁれみさんとお話しようと思ったのですが、囲いといいますか、常連の方々の壁が相当に厚かったので、ひとまず2階の様子を見に行くことにしました。

 もうここからは感情のジェットコースターでした。2階へ移動すると、入り口にふつーーーにふうりさんがいて、全く訳がわかりませんでした。眼前で給仕しているのはつい先日武道館で歌って踊っていたアイドルなのか?我々は今幻想の中にいるのでは?そんなことを考える暇すら与えられません、次の瞬間には階段からわかさんが登場して、お声をかけてくださいました。僕はその時ふうりさんのツインテールがふわふわと動く様子を見てダメになっていたので、いくつかの人間的機能が失われている最中でしたが、これまで生きてきた25年間の蓄積から、言語を話すこと自体は脊髄反射的に可能だったので、わかさんとコミュニケーションを取ることができました。何を話したかは記憶にございません。総理大臣も顔負けの答弁です。

 混乱のまま他のディアガの方々に案内され、カフェ内奥のテーブルへと向かいました。わかさんやふうりさんを含め、ディアガの人たちはせわしなく動いていて、常連さん(?)たちと楽しそうにおしゃべりしていました。*7しばらくテーブルで待機していると、れたすさんという方が店内のルールについて説明をしてくれました。人としてごく当たり前のことがルールとして挙げられていましたが、これを語るれたすさんの語気がなかなかに強くて印象に残っています。ディアステージの雰囲気にのまれ、理性を失う方々が多数いるようだということがわかりました。 

 れたすさんの案内である程度SAN値を上げることができた我々は、アルコールをもって今日この日を祝うことにしました。幸いだったのが、Bobくんは限界が近づけば近づくほどに語彙力が増えるタイプの人間だったので、僕は彼の様子を見てゲラゲラ笑うことによりなんとか冷静さを保っていました。ふうりさんがカクテルを作っているという事実だけで僕は脳みそをシェイクされているので、なんらかの方法で正気をキープする必要があったのです。

 ディアガの皆さんは、スタイルが特徴的でした。とりわけわかさんは、びっくりするほど細身でした。我々も自身の細さによって多くの女性たち、ひいては全米から恐れ慄かれたスレンダーマンでしたが、比にならないレベルでした。これまで見てきたどんな人たちよりも細かった。どこからあの力強い歌声が出ているのかまったく理解できません。ふうりさんはというと、予想以上に小さくて、噂通り塩っぽい対応でした。だけどそれがいいんだよね。ふうりさんは自分自身の為に働いてるって感じがするじゃん?僕みたいな奴がふうりさんの時間を割いてしまってごめん、というマゾヒズムすら懐妊してしまう。長くなりそうなので要約しますと、ふうりさんは可愛かった

 僕がアルコールで闘争心を刺激された膀胱の反乱によってトイレへ行っている間に、りすこさんがお洒落な紫色の洋服を着て登場しており、テーブルへ戻ったときにはBobくんがエモ性の言語障害と痙攣を引き起こしていました。ときたま、れみさんが1階から2階へと移動してくるので、その度に我々の視線が乱数によって決定されているかのような非人間的動きになっていました。何はともあれ、そんな風にさらっと歌唱担当が現れてしまうのがここ、ディアステージなのです

 

 

 

 

4,ワンスアポンなドリーム

 軽く様子を見て帰るつもりでしたが、この日は幸か不幸か他の方のお誕生日をお祝いするムーブメントがあったために、ある重大な事実に気づいてしまったのです。

 

Bobくんは今月誕生日を迎える、ということでした。

 

 やったじゃあないか。しかしどうやって誕生日を祝ってもらえばよいのか。メニューを舐めるように見回すと、ありました、バースデーメニュー。メニュー内容はこうでした。バースデープレート、好きなディアガに作ってもらうカクテル、囲いチェキ。

 

囲いチェキ。

 

 

 

囲いチェキ。

 

 

 

 

 

囲いチェキ。

 

 

 

 

 

 

 我々はこの甘美な響きを、子宮から火葬場まで、反芻していくのでしょう。御察しの通り、このとき我々の精神状態は非常に不安定*8で、金銭感覚をも失っていましたから、これを頼まない手はありませんでした。僕はツーチェキ付きのディア飯セットを頼んで、Bobくんにはバースデーメニューをせっかくなのでプレゼントすることにしました。Bobくんがこれまで見たことのないレベルで狼狽し、しきりに「明日が来ない」ことを心配していたのが記憶に残っています。受胎告知だとかなんとかも言っていました

  Bobくんは元々星宮いちごちゃんのファンだったので、カクテルはわかさんに作ってもらうことにしました。僕はふうりさんにお願いをしました。オーダー後、突如わかさんがこちらのテーブルへと向かってくるではありませんか。もう幼児退行するしかありません!オーダー幼児退行!オギャッオギャッ!危険信号フルスロットル!こちらちえぴっぴ、心的カオス抑制できず臨界!幼児変形!!!わかさんはカクテルのオーダーを伺いにきただけでした。当たり前ですね。

 なんとまぁ、好きな色を訊いてくれてそれに合わせてカクテルを作ってくれるということでした。Bobくんがピンクを選択した結果、わかさんはいちごミルク的なカクテルを作ってくれました。僕らがここに来るのが初めてで、それでいてアイカツのファンガイであることは、入り口でお会いした時に話していたようなので、もしかすると敢えていちごをチョイスして気をつかってくれたのかもしれません。

 わかさんはその後も何度かテーブルに来てくれて、お話をしてくれました。武道館で立っていた方々が目の前にいること、今とてつもない緊張に苛まれていること、僕がアイカツを見てまだ1年しか経っていないことをわかさんに伝えました。わかさんはとても優しいお方でした。それぞれの返答として「武道館に私たちを連れて行ってくれたのはみんなのおかげ、ありがとうだよ」とか「みんなここにいるよ~」とか「費やしてきた時間は問題じゃない」とか、もうとにかく有難いお言葉ばかりでした。当時は緊張して言葉を噛みしめるどころではありませんでしたが、今振り返ると、これはとんでもないことですよ。書いているだけで泣きそうになります。

 

 そうこうしているうちに、囲いチェキの時間がやってきました。Bobくんが呼ばれて、入り口の方へと消えていったと思ったら、次の瞬間にはれみさんがチェキのカメラを持って登場し、彼がそのまま被写体のうちに閉じ込められ21世紀の兵馬俑になってしまわないか心配でしたが、シャッターが切られると彼はすぐに戻ってきました。興奮を隠しきれていませんでした。目がマジでした。後で話を聞いてみると、わかさんふうりさんを両手に、れみさんがチェキを撮るという、冬の大三角形を感じていたとのことでした。わかります。わかるか?

 人生初のチェキで笑えているかどうかというのは、意外と重要な問題だと思います。Bobくんは笑えなかったと言っていましたが、チェキに写るその微笑みを僕は忘れることはないでしょう。彼のプレミアムレアなチェキは、物理学の本に挟み込まれ、その本の情報量を増大させていました。

 

 彼の元にバースデープレートを届けてくれたのも、わかさんでした。至れり尽くせりという感じです。カクテルについても甘すぎなかったかどうかを確認してくれて、気遣いにもう頭が上がりません。Bobくんは(緊張のあまり)味がわからないといいながら、パンケーキを頬張っていました。つくづく良い奴だと思います。

 

 

 

 ところで、お仕事というのは大変です。とりわけ現場レベルの営業というのは、自分自身を売り込むことに等しい。アイカツスターズ で言うところの、セルフプロデュースを強いられます。その精神的摩耗は、営業を担当したことのある者であれば共感できるのではないでしょうか。わかさんは入り口から出口までとにかく気を遣ってくださった印象でした。入った時は「最初で最後だ」という気概でしたが、出る時は「また来ます」なんていう言葉が口を突いて出てきてしまうほどに、優しさを感じました。これはディアガの皆さんとお話をして思ったことのひとつですが、名前を覚えてもらうということは「記憶に残してもいい」と思われることに等しいその一期一会にどれだけの思いやりやエンターテイメントを詰め込めるのかが勝負になるのです。実は僕も営業の人間なので、ディアガの皆さんに対しては非常に感銘を受けました。お勉強になります。

 

 

 

 さて、その後もれたすさんとお話*9をしながら大変楽しい時間を過ごしました。ところでまだ僕のツーチェキは撮影されていません。僕がふうりさんのツーチェキをオーダーしてから1時間半が経とうとしていました(塩)

 

 

 

 

 

5,ツーチェキという実存

 実はBobくんがバースデーメニューを堪能している間に、ふうりさんが颯爽と現れてカクテルを置いてくれていました。接近されたとき、あまりのスピード感に世界の描写速度が追い付かず、処理落ちで僕の身体のポリゴンがややズレていたと思います。何かお話できるかと思ったのですが、即座に踵を返していってしまったので、特に重要なコンタクトがあるわけではありませんでした。後で振り返って気づいたのですが、好きな色も聞かれていませんでした。塩を感じます。しかしながら実際にカクテルを作っている姿を長時間拝見することができたので、その味を全身の内臓が喜びをもって享受していました。ふうりさんは2回目のステージに登場していたので、僕は階を移動してこれを見ました。またしても相当の熱気と一体感を浴びて2階へ戻ったら、いよいよツーチェキの時間でした。

 

 結果として僕は「人間長い間待たされた後に究極の褒美を与えられると奴隷に近い精神構造になる」ということを心の臓から理解しました。ただの階段の踊り場が、あれほど眩い空間になるとは思っていませんでした。目と鼻の先にふうりさんがいて、あまりの気恥ずかしさに御顔をほとんど拝見できませんでした。この時起こった詳しいやり取りは僕のpostを引用することにします。 

 

 

 もう訳がわかりませんでした。ふうりさんの指先は冷たかった。きっとカクテルをずっと作っていたからだと思います。お勤めご苦労様です。お忙しい中僕のような下衆とチェキを撮っていただいてありがとうございます。などということを考える余裕すらありませんでした。今思い出すだけでもありとあらゆる感情がどっと心の中に流れ込んできて、身体が蒼白く発光し、周辺地域を汚染してしまいます

 チェキを受け取る直前に「遅くなってごめんね」と言われたような記憶がありますが、捏造かもわかりません。そんなことないです、こちらこそ申し訳ない、本当にありがとうございますと言いながら深く頭を下げて、両手でチェキを受け取った記憶もありますが、捏造かもわかりません。しかしながら、焦らされに焦らされて感度が倍になるエロ漫画理論、これは確かなことらしい。ここでチェキを受け取った直後の様子を綴った僕のpostを見てみましょう。

 

 

 実際僕はチェキを受け取ってから肺呼吸の仕方を忘れていましたBobくんが見せた迫真の様子を僕はナメていました。ツーチェキなんて軽く撮っておしまいだろうと正直思っていたからです。テーブルに着くと僕はゆっくりと椅子に腰掛け、肘をつき、しばらく頭を抱えていました。周りの目を気にする余裕はありませんでした。とんでもないことが起きたことだけは理解できました。僕もチェキに閉じ込めた自分の笑顔を確認していました。営業で培われた笑顔作成プログラムにこれほどまで感謝したことは後にも先にもないでしょう。

 そのあと何度も、幾度となく、チェキを見直しました。しかしここで立ち止まってみましょう。人がチェキにここまで思い入れを持つのはなぜか。僕は次のように考えます。チェキが実際に存在しているからではないか。僕の記憶は捏造かもしれませんが、チェキは間違いなく確かです。仮に記憶が定かであるとしたら、チェキによって「ふうりさんとハートを作ってツーショットを撮った」という事実はより強固に保証されます。ところで皆さんはアイカツ!を全話見たことがありますか。アイカツ177話から178話によって、これまで通ってきた全てのストーリーが照らされ、経験してきたことすべてが無駄ではなかったことが証明されるその感動ときたらありません。熱量の違いはあれど、ほんのわずかな時間でこうした奇跡が味わえるのが、推しとのツーチェキなのです。今日ディアステに来てよかった。心からそう思いました。

 

 

 

 

 

6, 待望と邂逅

 それぞれのミッションを終えた我々は、ついにれみさんと会いにいく決意を固めます。そもそもBobくんはれみさん推しなので、これもまだメインイベントの範疇でした。

 時間が経てども、常連の巨人たちが築く壁は高く、カウンター近くをソワソワするしかありませんでした。が、しばらくすると、れみさんの方から声をかけてくれました。何か注文しますか、と。僕はBobくんの背中をそっと叩き、行ってこいと送り出しました。彼とれみさんが何を話していたのかを耳をそばだてて聞くのはいささか失礼かと思い、僕は少し離れてその様子を見ていました。チェキのシステムについて聞いていたのではないかと思います。直後に彼は、なけなしの500円を叩いて、れみさんのチェキを購入していました。僕はこのタイミングでれみさんに挨拶をしました。彼が誕生月であることを告げるためでした。この時お話しして改めて気づいたのですが、れみさんはとてもまっすぐな目をしていました*10。僕は人の目を見て話す癖を自ら手に入れた人間ですが、そういう人の目ではなかったのを覚えています。初めから意志を持って瞳を見つめている人の目でした。僕も負けじと目を見て話しましたが、負けじとしている時点で何かがおかしいことは明白です。この時点で僕はれみさんの虜になりかけていました。思えば、真っ直ぐ人の目をみて話をしてくれたのはれみさんだけではありませんでした。カフェにいたすべてのディアガが、こちらの目を見てお話をしてくれた印象があります。これもまた、人の承認を得るひとつの手段なのかもしれません。

 しかし、そうやって人の一挙一動を営業活動として片付けることに意味があるとは僕も思っていません。正直言うと、天の邪鬼ではありますが、僕がこれまでの章で行ってきたものと同じような冷静な分析は実際セコいとすら思う。だからここで僕は声高に言います。

 

目をみてお話してくれて、めっっっっっっっっっちゃ嬉しい!!!!!!!!!!!好き!!!!!!!!!!!!!!!

 

 ところでれみさんは、チェキに名前を添えるためにBobくんの名前を尋ねていました。そのすぐ後に僕の名前も尋ねられました。Bobとちえぴっぴというマトモではない名前で登録したのを互いにちょっぴり後悔しましたが、先述の通り僕は頭が恋に近い病気を患ってしまいバカになっていたので、「あっ、ちえぴっぴって書いてもらっていいですか」などという愚言を犯してしまいました。あろうことか人の誕生日を祝うために人の推しが書いているチェキサインに、赤の他人と言っても差し支えない男の名前を添えようとしたのです。すぐさまれみさんのツッコミが入り、若干叱られました。僕はテンパっているとよく人の話を聞かないで思い込みで話を進めてしまう悪いクセがあるので、この経験を機に治していきたいと思います。大反省です。しばらくして、Bobくんは無事、れみさんからチェキを受け取りました。何が書いてあったかは、やっぱり訊いていません。大切にしてもらえればと思います。

 その後れみさんには出勤のシステムと、次にお会いできるタイミングを伺って、僕らはその場を後にしました。

 

 

 

 

 

7, またね、ディアステ

 結局、3時間近くディアステの中にいました。こういう空間についてはとことん無知でありましたが、当初想定していた以上に僕らは楽しめたと思います。「最初で最後」と意気込んで入ったものの、「また行こう」だなんて予定を立てようとしている自分たちがいるのですから、驚きです。

 ディアステに来てから武道館を見ていたらどうだったのだろう、とも思いました。なおさらアイカツ武道館の円盤を買いたくなりました。

  

 

 

 ディアステージを離れた後、僕はとても優しい気持ちになっていました。Bobくんと別れた後も、電車に乗り込んできた家族連れに席を譲り、大切な人へのLINEを丁寧に返そうと努めたりしました。自然とそういうことができました。

 れみさんからTwitterにリプライを、と言われていたので、その日のうちに謝罪と感謝を告げました。蛇足かもしれませんが、みなさんはれみさんの個人タイムライン上に固定されているツイートをご覧になったことはありますか。

 

 

それなら、僕は買おう、と思った。買って、貰った力を練り上げて、自分の糧にしようと思った。

 これ以上臭い台詞を吐く必要はないでしょう。これまで見てきた通り、僕はディアステージでの経験を通して、自分自身の中にあった偏見やコミュニケーションの取り方を、改めて見つめなおすことになりました。ディアステへの訪問は紛れもなく貴重な体験だったと思います。

 もちろん全ての人にこうした体験を与える空間ではないことは、重々承知しています。しかしながら、ディアステには平日であるにも関わらず、様々な人々が集っていました。今存続しているすべてのものは、必ず誰かにとって意味があるもののはずですし、ディアステもまた誰かにとって大切な場所になっているに違いありません。意味を享受できる人間だったという点において、僕は幸せでしょう。そんな幸せ者の挨拶は、決まってこういうものになるらしい。

 

 

 

 

 

またね、ディアステ。

 

 

 

 

 

謝辞

・歌唱担当を推す皆様と、我先にとディアステージへ特攻していったkkt女児の皆様

 ゴリ押しとも似つかない形で勢力を伸ばしつつある歌唱担当の沼に住む河童の皆様。いかがお過ごしでしょうか。僕もこうして、皆さんのお気持ちに近づけたのではないかと思うと、嬉しく思います。僕の座右の銘は「百聞は一見にしかず」です。やはり何事も経験でしょう。しかしそうは言いつつも、何事をも経験する勇気は、皆様なしでは得られることがなかった。ここに御礼申し上げます。ありがとう。

 

・Bobくん

 君があの日、ディアステに行くという選択肢を提示してくれなければ、僕は最初の訪問でツーチェキを撮るところまで至らなかったかもしれません。人の誕生日を覚えないというのは損なのだということもわかりました。現に君の誕生日を知らなければ、僕らはあの日素敵な時間を過ごせなかったかもしれない。ディアステ初訪問が君と一緒で良かった。また行こう、必ずね。

*1:

youtu.be

*2:僕はキャラクターで言うとあおい姐さんと小春ちゃんを、Bobくんはいちごちゃん・おとめちゃんを特に推していました

*3:ディアステージにいるスタッフ兼アイドルたちの総称らしい

*4:この記事を読んでくださった方が、この日の受付がどなたかだったかを教えてくれました。石原あこさんという方でした。Twitterのアカウントを通して御礼を言いました。教えてくださった方、ありがとうございました。

*5:ジョブズがいかに偉大だったかを、手元のiPhoneが文鎮に近づいていく過程でよく理解できたでしょう。ところで君の文鎮は何ていうの?あぁ、Androidね。さぞかし便利だろうよ。

*6:この用語は、日本におけるサブカルチャーの小さな熱狂を理解する上で、とても重要なタームであるように感じます。気になる人はデュルケームの名著『宗教生活の原初形態』を読むことをオススメします。http://amzn.asia/3gSjuve

*7:僕の中でわずかに悔しいという思いが湧いたことを否定しません。

*8:躁と鬱を毎秒単位で繰り返していました。

*9:アイカツの推しの原点は誰かと問われて、それぞれあおいちゃんといちごちゃんだという話をしました。原点、僕らの原点ですって話をしたら、「こいつクソ原点いうやんけ」って煽られました。れたすさんにスターズをまだ見ていないなら小春ちゃんを推してほしいと懇願したら、一気に引かれたのを覚えています。初対面の人に僕の有り余る小春ちゃんへの愛を語るのはマズいなと改めて感じました。

*10:声も可愛かったです