3月3日の小春ちゃん
はじめに
今回は、皆さんが望むような怪文書ではないかもしれません。先にお詫びしておきます。僕がこの余白の上を、小春ちゃんへの愛で蹂躙する様子を期待されているかもしれません。しかし今回は文面や注釈などに工夫を凝らす時間がなかったことと、ゆめちゃんの誕生日を大きなスケールでお祝いしたかったため、大変シンプルな内容になっています。
以上ご了承の上、お読みください。
ゆめちゃん、お誕生日おめでとう
3月3日、今日は虹野ゆめちゃんの誕生日。
ゆめちゃん、誕生日おめでとうございます。
今日を祝う多くの人が「アイカツスターズ 」に出逢えて良かった、そう思っていることだろうと思います。かく言う私も、ゆめちゃんを筆頭とした、星々の輝きに魅せられた人間のひとりです。
最新話と武道館、そしてゆめちゃん。
95話から96話は、四ツ星学園のみならずヴィーナスアークの面々も含めた「想い」が交じわり形になる、スターズの集大成的お話でありました。また、繰り返される「完ぺきなことが1番ではない」という言葉が象徴するように、アイカツ無印とは似て非なるスターズの方向性を再確認できた回でもありました。
アイカツ武道館で堀越せなさんがシンクロナイズを果たしてみせた虹野ゆめちゃんがアニメ最新話のステージで眩い輝きを放ったことで、2つの世界線が重なったと感じた同時に、キャラクター・声優・歌唱担当という3つの「魂」が1つに昇華される奇跡的瞬間に立ち会うことができました。この喜びは、アイカツスターズを愛する人たちにとって、何物にも代え難いものであったと思います。
「虹野ゆめ」という偶像への愛がピークに達した状態で彼女の誕生日を迎えることができるのは、彼女にとっても観測者である私たちにとっても、大変嬉しいことに違いありません。
祝福したいのは私たちだけではない
ある種の熱狂を経て迎えられるゆめちゃんの誕生日を、誰よりも祝いたいと思っているであろうアイドルがいます。美組所属の幹部で、香澄家から寵愛を受けている、眼鏡がチャームポイントの、国民的人気を誇るブランドのデザイナーであり、服飾デザインのセンスだけでなくアイドルとしての素質も十二分に持ち合わせている、四ツ星学園が誇るセクシーキュートなびっくり箱。
……うーん、わかりません。
こんなにも素晴らしい肩書きを誇るアイドルが本当に存在するというのでしょうか。いるとしたら、それは一体誰なのでしょうか。
なんと、信じられないことに、今あなたの心の中に映し出されているのは、まさしくそのアイドルの可憐な御姿ではないでしょうか。全くもったいぶらずに大きな声で名前を呼んであげてくださいよ。私にナイショだなんてズルいですよ♡
そうですね、小春ちゃんですね。
七倉小春ちゃんです。
名前を呼ぶだけでも、心が微細動で逆AEDです。
ゆめちゃんと小春ちゃんの歴史を辿ることは、アイカツスターズの歴史を辿ることとほぼ同義であります。物語の主人公の一翼を担うゆめちゃんの側には、いかなる物理的距離であろうと、いつも小春ちゃんがいました。そして、ゆめちゃんのアイカツの節目には、七倉小春ちゃん抜きでは語れないさまざまなエモーショナルなイベントがありました。
私はここで、小春ちゃんの活躍した話数を抜粋して、みなさんと振り返ることは敢えていたしません。他の小春ちゃんを愛してやまない方々の、素晴らしい記事や考察がすでにあります(これは後ほど時間があるときに追記していこうと思います)からぜひそちらを読んでください。私は私で、他の方々とは全く違う、馬鹿げているとも思える角度から、ゆめちゃんと小春ちゃんのアイカツの軌跡を考えていこうと思います。
アイカツスターズは人生か
先ほど私は「観測者」という言葉で私たち視聴者を形容しました。これはなぜか。
……突然ですが、ここで私たち人間が生きる時間について考えましょう。80年生きることができたとして、一生のうちに過ごす時間は何時間あるのでしょうか。これは以下の数式で表すことができます。
80(年)×365(日)×24(時間)=700,800(時間)
この時間を、「分」という単位に変換してみると、以下のようになります。
700,800(時間)×60(分)=42,048,000(分)
これを長いととるか、短いととるかは人それぞれですが、客観的な指針としてアイカツスターズ 1話分の時間を尺度として用いることで、この42,048,000分という時間について考えてみましょう。
42,048,000(分)÷24(大体1話分の分)=1,752,000(話分)
1,752,000話分です。
今のアイカツスターズ、何話でしたっけ。
96話です。
四ツ星学園に所属するアイドルたちの人生が1,752,000話という形で表されるとしたら、私たちはまだその人生のうちの0.005%ちょっとしか見届けていないんです。
それどころか、アイドル一人ひとりの出演時間は1話24分のうちのさらに一部でしかありませんから、私たちが目撃している彼女ら一人ひとりの姿はもっともっと短い。流れ星のような、ほんのわずかな時間の輝きなのです。
信じられますか。
ほんの一瞬なんです。
あまりにも儚い。
そう思うたびに私は、ぽっかりどころかズッポリ空いた心の穴を、滑落し続けるのです。この穴はどういうわけか小春ちゃんのお肌のようにツルツルすべすべで、降下の最中には有り難みすら感じるようになります。
滑り落ち、底に到達した時。ここで、私たちはある疑問に直面します。
私たちは
虹野ゆめちゃんや
七倉小春ちゃんの
何を知っているのだろうか
この「無知の知」的疑念は、私たちがゆめちゃんや小春ちゃんに関して、饒舌に語ることの無意味さを強調するのではありません。肝心なのは、誰が彼女たちのことをよく知っているのか、ということです。
幼馴染という尊さ
ゆめちゃんは小春ちゃんと幼馴染でした。
それでは、小春ちゃんと武道館で25代S4のステージを一緒に見たのは誰?小春ちゃんと一緒にS4になりたいと夢を語っていたのは誰?小春ちゃんと一緒に四ツ星学園への願書を出したのは、小春ちゃんが新しい自分を見つけようと思ったきっかけは、小春ちゃんがファッションショーで審査員特別賞を取れたのは、小春ちゃんのセクシー変貌ぶりに驚いたのは、小春ちゃんがイタリアへ旅立つときステージに立ったのは、小春ちゃんが遠い異国の地からどうしても声を伝えたかったのは、小春ちゃんと一緒にドレスをデザインしているのは……誰?
小春ちゃんが「いっぱい好き」なのは?
小春ちゃんの思い出とともに、私たちの背後に広がる世界に、圧倒的な密度で存在感を示すその女の子は、虹野ゆめちゃん、その人ではありませんか。
観測と選択
私たちのアイカツスターズ視聴経験は、彼女たちアイドルの「生」の断片が乗せられたプレパラートの上を脆くうすっぺらいカバーガラスと拡大レンズを通して、ミクロに観察することしかできません。私たちはあくまで「観測者」の域を出ないのです。
一方でゆめちゃんは、下手をすると私たちの知り得ない1751904話分の小春ちゃんを知っている、あるいは知ることができる立場にあります。私たちの観察を凌駕する広い宇宙に、彼女たちは「生きて」いるんです。
その広大なコスモの中で、彼女は小春ちゃんと離れる選択をすることもできました。けれども、彼女はそれを選ばなかった。96話は、その証拠のひとつでもあります。大切なのは観測ではなく選択です。何を選び、何をするのか。七倉小春ちゃんを推すのも、小春ちゃんの愛用するアメリカンクリームを飲み干すのも、七倉という名前について事細かに調べるのも、香澄朝陽をセクハラで告発するのも、すべて選択です。
今日祝福すべきものは何か
以上のような観点から私は、小春ちゃんを幸せにしてくれるのは、虹野ゆめちゃんであると、そう確信しています。だからこそ、この3月3日、祝うべきは虹野ゆめちゃんが生まれたことだけではないのです。ゆめちゃんが生まれてからこれまで、そしてこれからを、祝福すべきではないでしょうか。
小春ちゃんと同じ年度に生まれ、
小春ちゃんと出逢い、
小春ちゃんと成長し、
小春ちゃんと共に乗り越え、
最後には。
この3月3日、小春ちゃんもゆめちゃんという物語に出逢うことができた奇跡を、噛み締めているに違いありません。
ゆめちゃんへ。
小春ちゃんと出逢い、共に歩んでくれて、ありがとう。
望遠鏡とそれぞれの流星
さて、こうして想いを巡らせると、皆さんがのぞいていた顕微鏡は、いつの間にか望遠鏡へと変わっています。
今あなたが覗いてきた心の望遠鏡には、どんなに一瞬であろうとときめきを与えてくれるアイドル、一筋の光――私たちの願いすら叶えてくれる「流れ星」が見えていたはずです。
アイカツスターズの主題歌は次のような言葉を謡います。
「夢は見るものじゃない。」「Dreams come true.」
あなたの願い事はなんですか?
僕は願います。ゆめちゃんと並ぶ、小春ちゃんのS4姿を。
2018.03.03 ちえぴっぴ