When you wish upon うた

歌に願いを

推しと聴きたいクラシック音楽10選

 今回、みなさんが愛する推しのことを夢想しながら聞いてほしいクラシック音楽を、10のシチュエーション毎に1曲ずつ用意しました。メジャーな曲もマイナーな曲も満遍なく用意したので、皆さんの今の気分に合わせて聴いてください。

 今回曲についての余計な情報は書かないでおいたので、まずはみなさんの推しと、各項それぞれのシチュエーションを存分に想像してから、再生してほしいと思います。心揺さぶる情景が、眼前に広がっていくはずです。

  著作権的なラインも配慮して、今回Spotifyのみにしたので、Spotifyに登録してください。再生ボタン押すだけだと、途中からの再生になってしまう。Spotifyが面倒なら、Youtubeで検索すればすぐ出ます。多分。

 みなさんがあまりにも聴かないのでYouTubeから音源を引っ張ってきました。

 

 

 

1、推しとの子供を寝かしつけながら、3人でベッドに横たわりたいときに聴く1曲

プロコフィエフ 交響曲第7番 第3楽章

 

 

 

2、推しと初めて出会った場所で、長らく接近していなかった推しと感動の対面を果たしたときに聴く1曲

ラフマニノフ 交響曲第2番 第3楽章

 

 

 

3、長年寄り添った推しと、懐かしい昔話をしながら、共に生きた喜びを噛み締めたいときに聴く1曲

マーラー 交響曲第5番 第4楽章 Adagietto

 

 

 

4、何気ない日常の中で、妖精のように可愛く麗しい推しと、噴水が綺麗で緑豊かな公園で散歩をしたいときに聴く1曲

プーランク 2台のピアノのための協奏曲 第2楽章

 

 

 

5、まどろみの中、微笑む推しや元気に駆け回る推しの姿を想像しながら聴きたい1曲

カプースチン  8つの演奏会用練習曲 第2番「夢」

 

 

 

6、推しともう二度と会わないと決めたにもかかわらず、自らに宿る推しへの熱情に気づき、深い哀しみの中帰路へ着くときに聴きたい1曲

スクリャービン エチュード 嬰ハ短調 第1番

 

 

 

7、今日出会えたという有り余る喜びとその想いを、ロマンティックな形で推しに伝えるときに聴く1曲

ハーバート チェロ協奏曲第2番

 

 

 

8、何気なく道を歩いていると、遠くからゆっくりと、とても綺麗な姿をした人が歩いてきて、すぐ横を通り過ぎたときとても良い香りがした瞬間に、推しだと気づいて振り返っていた時には、すでに遠くへ行ってしまっていたときに聴く1曲

亜麻色の髪の乙女

 

 

 

9、夢の中で、すぐにでも触れられそうなほどに推しに近づき、めちゃくちゃテンションが上がった瞬間目が覚めてしまったが、今日も一日頑張るぞと思った時に聴く1曲

ラヴェル ソナチネ 第2楽章 メヌエット

 

 

 

10、推しの結婚報告を聴いて、やっぱりそうだよなという謎の納得感と共に、これまでの思い出の濁流に抗いながら、優しい気持ちでおめでとうを言いたい時に聴く1曲

ベートーヴェン ピアノソナタ第8番「悲愴」 第2楽章

 

 

 

 

 

ここまで読んだにもかかわらず、一度も再生ボタンを押さなかった君はとても偉い。

推しのために、本物の涙を取っておいたのだから。

 

アイカツ!から考えるクラシック音楽入門

 

 

 はじめに

 いよいよ2月10日(日)に迫ってきましたMusic 4gamer「オケカツ!」。 生演奏機会を渇望していたアイカツの音楽好きたちにとって、待望のイベントではないでしょうか*1

 

www.4gamer.net

 

 「オーケストラ」と聞くと、なかなか敷居の高い世界だと感じる方もいらっしゃるようで、若い世代にその魅力が伝わっているとは言い難いと思います。また、学生時代にオーケストラ部の演奏を聴く機会があったけれども、その悲惨な音程に耳をそむけて以来、クラシックを聴かなくなってしまったという方も散見されます。私もかつて学生オーケストラに身を置いていましたから、これらのことは十二分に理解できます。

 しかしながら、それだけでクラシック音楽の世界への門を閉じてしまうのはまだ早いのではないでしょうか。この言葉を軽率に使うのもいかがなものかとは思いますが、実はクラシック音楽の歴史にはSHINING LINE*が宿っています

 「オケカツ!」を機会に、若い世代の人たちに少しでもクラシック音楽に興味を持ってくれたら嬉しい! そう思って、今回はアイカツ!(旧カツ)のキャラクターたちになぞらえて、クラシック音楽の作曲家たちとそのSHINING LINE*について紹介をしようと思います。私も浅く広い知識で書いたものですから、いくらか間違いがあるかもしれませんので、その場合はぜひご指摘いただければと思います。

  アイカツ!のネタバレも含んでいますので、未視聴の方は念のためシリーズ全178話すべてご覧になってからお読みいただきたいと思います。

 

 

 

 

 

クラシック界のマスカレード ~J.S.バッハヘンデル

 そもそもクラシック音楽の始まりを紐解こうとすると、今から400年以上前の話からスタートしなければなりません。そんなに文量を多くするつもりもないので、今回は超有名なヨハン・セバスチャン・バッハJ.S.バッハさんとゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルさんの話からスタートします。私たちが小学校の音楽などで習うバッハさんは大抵がこのJ.S.バッハさんです。ふたりとも、その卓越した演奏技術と理に適った作曲技術から、近代西洋音楽の礎を築いたと称されています。どのくらいすごいかアイカツ的に説明すると、この人たちがアイカツシステムを作りました。この人たちがいなければ後のアイドルはいません。現実的かつ究極的に言えば名曲『カレンダーガール』が生まれるキッカケを作りました

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J.S.Bach(1685-1750)

  17世紀から18世紀頃バッハさんの一族は高名な音楽家だったそうです。そんな一族に生まれたJ.S.バッハも教会の音楽指導者や鍵盤演奏家として活躍していました。

 バッハは地域に根付いて教会音楽家として従事していました。一方のヘンデルさんもバッハと同年代に生まれた音楽家でしたが、ヘンデルはヨーロッパを渡り歩き大衆オペラの作曲家としてその名を轟かせていました。

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G.F.Handel

  アイカツ!の世界観になぞらえると、地元で精力的に活動していたJ.S.バッハは星宮りんごで、大衆音楽を広く知らしめたヘンデルは光石織姫と、無理やり位置づけることができると思います。バッハとヘンデルは生涯音楽家で引退こそしなかったのですが、両者ともに「美しい西洋音楽」のイメージを作り出しました。この2人に憧れて、多くの人々が作曲家になることを目指します。そう、マスカレードを見てアイドルを目指した神崎美月や、神崎美月のステージを見ておしゃもじをマイクに変えた星宮いちごのように。

 

 ヘンデルはこの『水上の組曲が有名かと思います。年始の某格付け番組でよく聴くような。ヘンデルの楽曲群については、残念ながら現在演奏機会が乏しいです。

 

 J.S.バッハさんで有名な曲といえば、これ。新世紀エヴァンゲリオンの劇中でも使用されたチェロの曲、無伴奏チェロ組曲 第1番』*2

J.S.Bach作曲: 無伴奏チェロ組曲第1番

 

 

 

 

 

古典的西洋音楽のアイドル ハイドン

  クラシック界の神埼美月、それがフランツ・ヨーゼフ・ハイドンさんです。ハイドン交響曲の父と呼ばれていて、だいたい108曲ぐらいある*3と言われています。煩悩の数と同じですね。あとで紹介するベートーヴェンでも9曲しか書いていないので、とんでもない創造力だということがわかります。

 しかもその交響曲のひとつひとつは、主題と称された「ある決まった形で現れる音の列」をひとつのモチーフにして、いろんな形で展開しています。このことは後のクラシックに大きな影響を与えていて、だからそこハイドンベートーヴェンの時代へと至るまでに古典的な音楽の形式を確立した重要人物として挙げられているのです。

 ハイドン交響曲だけでなく、弦楽四重奏も有名です。彼が書いた弦楽四重奏のひとつは、現在のドイツ国歌に引用されています。その理にかなった美しさで、当時ハイドン国一番の作曲家と言っても過言ではないほど絶大な人気を誇っていました

 とは言うものの、ハイドンの曲はクラシックを漁ろうと思わない限り、触れる機会は多くありません。今ではすっかり、後の作曲家たちの人気の影に隠れてしまっています。それでも、次のピアノ曲ぐらいは知っているんじゃないでしょうか。

www.youtube.com

 

 ところでハイドンは、同時代の鬼才たちと交流を深めていました。そのうちのひとり、モーツァルトとは互いに作った曲を献上して才能を称え合うほどの仲だったそうで。ひょっとすると、同じステージに立っていたかもわかりません。ちなみにモーツァルトは英語でフルネームを表記するとWolfgang Amadeus Mozartなので、実質WMです

 

 さて、このハイドンから音楽の手ほどきを受けた人がいます。聡明な読者の皆さんならお気づきでしょう。そう、かの有名な「運命」を作り出した作曲家です。 

 

 

 

 

 

ロマンの扉を叩いたクラシック界の星宮いちご ベードーヴェン

 誰でも知っているベートーヴェン。年末の第九交響曲はもはやジャパニーズ風物詩となってしまいました。世界では第九交響曲を年末に演奏する風潮はないとか。

 意外と知られていないのですが、彼の母親は宮廷料理人の娘で、料理も上手だったらしいのです。もちろん、お父さんがバッハというわけでもなく、はたまた弁当屋さんを営んでいたわけでもありません。さらに残念なことに、ベートーヴェンは父親から鬼の音楽教育を施されていたため、おしゃもじを持ち替えるどころか、生まれたときから楽器を手に取り、その神童ぶりを発揮させられていました。何が「クラシック界をつなぐ きらめくライン」じゃ、と思われるかもしれません。

 

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L.v.Beethoven(1770-1827)

 

 ベートーヴェンの評判が広まる最中、ハイドンベートーヴェンの才能を察知し、彼を門下に置いていた時期がありました。ハイドンも神崎美月同様に「ここまで登っておいで」と熱い指導を……注げていたわけでもありませんでした。実のところ、ベートーヴェンが門下になっていた時期があっただけで、ベートーヴェン自身はそれほど熱い指導を受けていたわけではないようです。ハイドンが売れっ子で世界中を飛び回っていたため、ベートーヴェンはやや放置プレイ気味だったというのがもっぱらの噂です。

 ここまでくると、もはや「もらうバトン」もないのでは。いえいえ、そんなことはありません。ベートーヴェンハイドンから何も得なかった、というのは早計です。というのも、ハイドンが書いた108の交響曲のエッセンスを、ベートーヴェンはふんだんに利用しているのです。シンプルに言うと理論的に描かれたクラシック音楽を、その型を保ちつつ、より叙情的にしたというところが彼の偉大な点だと僕は思います。例えば『交響曲第5番』の第1楽章。「運命」と副題の付けられた*4この交響曲は、冒頭の4音の形が繰り返し使われているにもかかわらず、非常にドラマティックな展開になっています。皆さんは、「運命」が、有名な冒頭の「4回」の音の組み合わせによって組み立てられていることに気づいていましたか? クラシック音楽は「その歴史を知って聴くとわかることがたくさんある」というところに魅力があります

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 ベートーヴェンは、死に際にハイドンの生家の絵を見て「こんな小さな家からあのような偉大な人が生まれたのか」という台詞を残した、という逸話があるぐらいです。彼はハイドンの音楽を聴いて「この人を超えなければならない」と直感していたに違いありません。そんな音のロマンが詰め込まれたベートーヴェン交響曲は、ハイドンの時代だけでなく、世代を超えて演奏され続けています。

  実は、このベートーヴェンの音楽のバトンを受け取り、産みの苦しみを味わった作曲家がいます。

 

 

 

 

 

遅咲きの後継者 ブラームス

 ブラームスが生まれたのは、ベートーヴェンの死から6年後。直接的な関わりがなかったものの、ブラームスの才能を決定づけたのは、彼の書いた最初の交響曲ベートーヴェンの第10交響曲だ」と揶揄されたところにあります。

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Johannes Brahms(1833-1897)

 ブラームスは、演奏家として早くから才能を見出されていましたが、作曲家としては非常に苦労しました。というのもこの人、いわばクラシック音楽のオタクでした。ゆえに、これまで挙げてきた作曲家とその古典的な音楽を崇拝しており、自分の作品が残すに値しないと判断するや否や、五線紙を破くようなことを繰り返していました*5。 

 その経緯について全て話すとなると、178話分などでは到底済まなくなってしまうので控えますが、ブラームスは最初の交響曲を完成させて世に送り出すまで、なんと約20年もかけています*6。参考までに、ベートーヴェンは「運命」を4年ちょっとで完成・初演を成功させています。いや、ベートーヴェンがバケモノってだけかもわかりませんが。兎にも角にも、ブラームスはめちゃくちゃ苦労しました。

 ブラームス交響曲第1番はこちら。「運命」の時代よりも、少し複雑な音の構成になっています。この曲の第四楽章、動画の38分頃から始まる部分を聴いてください。ドイツの山脈を彷彿とさせる、ホルンの長く大きなテーマが過ぎたあとの、弦楽器のシーンがとても重要です。というのも、この部分はベートーヴェンの第九で使われている音の形が頻繁に登場します。なんとなく聴いたことがあるんじゃないでしょうか。

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 実はブラームスとほぼ同世代の作曲家たちは、遅筆のブラームスを追い越して、どんどん交響曲を発表していました。シューマンブルックナードヴォルザークなどなど、有名な作曲家たちが我先にと交響曲の作曲活動に精を出していたわけです。それなのにどうして、後出しをしたブラームス交響曲ベートーヴェンの再来と謳われたのか。

 ブラームスがここまで時間をかけたのは、大空あかりが星宮いちごのオタクだったように、ブラームスもまたベートーヴェンのオタクだったからです*7。そして、自分がベートーヴェンのバトンを受け取る役割を担っている、と自覚してめちゃくちゃ努力したからなのです。「絶えずベートーヴェンのような巨人が、後ろからのっしのっしと歩いてくるのが聞こえる。その気持ちがどんなものか、君には見当も付かないだろう」なんていうブラームスの言葉も残っています。アイカツブートキャンプで涙を流したあかりちゃんを彷彿とさせますね。そのぐらいに、ベートーヴェンブラームスにとって神様のような存在でした。

 ブラームスはフィナーレにあたる第4楽章で、崇拝するベートーヴェンのモチーフを持ってきました。このあたりの推敲に5年を費やしたというのですから、驚きを隠しきれません。

 そんなブラームスの血と涙の結晶は、結果としてそれまでベートーヴェンを神格化していた聴衆たちの心にブチ刺さり、熱烈な歓迎を受けました。どのくらい熱烈な歓迎だったかって?アイカツ武道館ぐらいですかね*8……。

 

 

 

クラシックのSHINING LINE*はまだまだ続く

 さて、ここまでドイツ3大Bことバッハ、ベートーヴェンブラームスをなぞるような形でご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。ドイツ3大Bはアイカツであることを少しは感じられたかと思います。

 もちろん、ブラームスのその後にも、多くの作曲家がバトンを受け取り、次の世代へと渡しています。この先、僕の人生の推しである作曲家ラフマニノフが19世紀末頃に生まれてくるのですが、その話を始めてしまうと2万字は超えるので割愛させていただきます。ひとつだけ言えるのは、僕の人生の推しはもう死んでしまって会えないけれども、君たちの推しはまだ生きているはずだから、全力で応援してほしいということです。続きは気が向いたら書きます。

 こういうクラシックの歴史があるからこそ今の音楽があるわけでして、ヨーロッパから受け継がれてきた楽器とオーケストラという形式が、日本アニメ音楽の最先端であるアイカツの音楽をどう創り出すのか。2月10日(日)の演奏を楽しみにしようと思います。

 

 

 

 

*1:SS席チケットには楽譜も付いてくるらしい。

*2:この無伴奏チェロ組曲は全部で第6番まで存在しています。

*3:ぐらい、というのは、どうも名前を使っただけの偽作があるらしいからです。クラシック音楽の研究者は、本当にその作曲家が作った曲なのかを確かめる役目もあるのです。

*4:ベートーヴェンが付けたのではない、という説が今では主流です

*5:知り合いの作曲家の奥さんと恋に落ちてメンヘラになっていたりもしました。詳しくは自分で調べてね

*6:年数については諸説あり

*7:ブラームスは自室にベートーヴェンのフィギュアを置いていました。

*8:涙が止まりません

上花楓裏さんがいてこそのMia REGINA なんです

 

Mia REGINAを愛する皆様へ

 いつもお世話になっております。Mia REGINA 非公式スポンサーのちえ美です。

 日頃はMia REGINA楽曲をご拡散いただき、誠にありがとうございます。

 今回は表題の件についてご連絡差し上げたく、ブログにいたしました。

 

この記事の趣旨

 今日ここで、どうしても皆様にお伝えしなければならないことがあります。

 それはMia REGINAには上花楓裏さんが必要不可欠である」ということです。

 何故上花楓裏さん(以下ふうりさん)がMia REGINA(以下ミアレジ)にとって、唯一無二の存在であるのか。これからその理由について、お話をしたいと思います。

 

 

 

 

 

ミアレジとふうりさんのイメージ

 まず皆さんは、ミアレジの特徴をどのように捉えていらっしゃるでしょうか。

 アニソンをテーマに掲げた熱さと美しさがほとばしる楽曲群、グラマラスでスタイリッシュな衣装、ステージ上では口からWAVファイル、わかさんの8頭身ダンスとオタクトーク、リス子さんのファンキー&ビューティーな声質と爆レス、そしてふうりさんの日本全土を包みこむ可愛さ

 ……こうした要素については、みなさんもご認識をお持ちかと思います。しかし私が今回物申したいのは、ふうりさんが「ミアレジのマスコット的存在である」と単に評されていることがある点についてなのです。

 もちろん、これは決して悪いことではありません。確かにふうりさんは、MCで必要以上の発言をせず*1、いつもにこやかに告知を済ませ*2、ステージ以外は省エネでKawaiiを実現する*3いわずもがなスーパーガーリーマスコットキャラクターです。

 が、これだけでは「欠かせない」とは言い難い。そうお思いにならないでしょうか。

 そこで私は今日この場をお借りして、ミアレジにおいてふうりさんが担っている注目すべき特異な役割について、「ふうり」の頭文字を取って3つのFでご説明差し上げようと思います。

 

 

 

3つのF

Fittable :ふうりさんの奇跡的声質

 私が考えますミアレジの特筆すべき点のひとつは、3人のユニゾンが絶妙にマッチしている点です。各ソロは三者三様の個性が聴こえる一方で、3人の歌声が合わさったとき、他に類を見ない一体感・高揚感が生まれます。

 響きの豊かさを作り出すためには、さまざまなことを考える必要があります。似通っているだけではひとつの音にしか聴こえず、あまりに違いすぎる性質の音が混ざり合っても心地よい響きにはなりません。

 人の手で緻密に作られた楽器ですら、ひとつひとつの個性があり、重ね合わせた響きも様々なものになります。ましてや神の手で造られた人間の声をコントロールし、しっかりとしたハーモニーを生み出すことは中々に難しいことで、生まれ持った才も必要になってきます。

 ではここで、日本三大ミアレジ楽曲のひとつ『THAT'S A FACT! 〜千里の道も一歩から〜』からユニゾン部分「誰もが知っているハッピーな物語」を聴いていただこうと思います。

 絶妙なミキシング、なんと交響的な歌声でありましょうか。今みなさんの心にはSymphonyとしてのMia REGINA が誕生していることと思います。そしてこの素晴らしい融合は、ふうりさんなくしては実現できないだろうこともご理解いただけたはずです。ふうりさんはこのユニットのために生まれてきたと言っても過言ではありません。

 さてこの楽団は、各々の奇跡的な音質のミックスによって、音のカクテルを提供してくれています。ところで、このオトナな音楽はセクシーさがベースとなっていることが多いような気がしませんか。

 

 

 

 

Functional:ふうりさんが持つ機能美

 セクシーさという点でよく挙げられるのが、ミアレジのメンバーであります霧島若歌さんとささかまリス子さんです。そのパワフルな声と絶妙なニュアンスを激しいダンスとともに駆使する御二方は、ステージを披露することに関して他の追随を許さないアーティストであります。

 皆さんもすでに御察しの通りかとは思いますが、ふうりさんもまた負けず劣らずのセクシーさを歌へと練りこんでいます。ふうりさんが創るセクシーさの原点、それは「フレーズの語尾」にあります。

 これまで歌われてきた『prism spiral』・『ショコラショー・タイム』など、数々の委嘱楽曲を改めて聴いてみると、どうでしょう。節の終わり際、特に強調をしたい場面で感じますが、ほんのわずかな時間のうちに、ふうりさんはやや上へと音程をずらすのです。これこそが、ふうりさんの最大の武器であり人間国宝級のテクニック、「ふうりさんのセクシエストしゃくり」略して「ふうりのセくり」です。この「ふうりのセくり」は、常人では考えられないレベルの正確さで、かつ是が非でも欲しいタイミングへと、ほぼ確実に入り込んできます。

 ミアレジの楽曲では、某歌唱担当時代のものを遥かに上回る安定感・声量とともに、磨きのかかった「セくり」を披露してくれています。ここで日本三大ミアレジ楽曲のひとつ『YES or YES』からふうりさん担当のAメロ〆部分「思ったより鮮明で」をお聴きいただきたいと思います。

 

 なんと甘美な「ふうりのセくり」でありましょうか。私の心臓はいま、血肉を脇躍らせる人生のポンプとなり、心身は明日への希望に満ち溢れ、どんな困難にもYESを唱えることができます。

 このようにふうりさんは、「セくり」によってミアレジ楽曲のセクシーさを更に印象付けているのです。

 

 

 

 

Fuurilluminaty: ふうりルミナティ

 ところで、どうしてふうりさんはミアレジのCDジャケットやポスター、さまざまな販促物のセンターを飾っているのでしょうか。もちろん、ふうりさんが魅力的な人物であることに違いはありません。しかしみなさんは、ここに奇妙な事実が含まれていることに、まだお気づきでないと思われます。

 さてここで、ミアレジ各メンバーの公称身長について見てみましょう。

上花楓裏 151cm / 霧島若歌 167cm / ささかまリス子 160cm

 これらの数字を、『蝶結びアミュレット』や『純正エロティック』のジャケ写通りに並び替えてみますと、次の通りになります。

167 / 151 / 160

ふうりさんを中心に、数字をそれぞれ引き算すると、次の数字が現れます

167-151=16 / 160-151=9

それぞれを比で表すと16:9となります。

 実はこの比率は、貴金属比*4のひとつ、プラチナ比に限りなく近い数値となっているのです。アスペクト比としても用いられています。

 プラチナ比は、正確には1:√3。短辺が1、長辺が√3の長方形を、長辺を接して二つ並べると、その四角形の中に正三角形が作れます。非常に美しい比率なのです。ミアレジにおいては、選ばれたのがこの御三方だったからこそ生まれた、ヴィジュアル的に絶妙な比率だと言えます。

 なんとミアレジの皆さんは、すでにこのプラチナ比を使いこなしているのです。それを確認できるシーンがあります。それがこの『蝶結びアミュレット』MVのワンシーンです。映像は上記埋め込み動画からご確認ください。

 

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サビの〆「心届くまで」のワンシーン

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お分かりいただけただろうか?

 

 もちろん、ジャケ写においては人の手が加えられていることが多々ありますが、身長差が生み出すバランス感については人を選ぶ必要があります。つまるところ、ふうりさんはミアレジにプラチナ比をーー絶妙に美しい造形と世界を革命する力をもたらしているのです。

 

 

 

 

 

ミアレジの告知

 以上、3つのFについてご確認いただきました。ミアレジにおけるふうりさんの魅力が、ますます高まったかと思います。そんなミアレジが主催するイベント、アニディアVol.6は2月2日(土)に開催予定です。

 

 また、今月12月25日(火)は「聖なる☆ディアステージ」にてミアレジが出演予定です。

 

 

 

以上、何卒よろしくお願いいたします。

 

 

 

 

 

*1:私はふうりさんのフリートークが、柔らかくも歯ごたえがある湯葉のように、絶妙なゆるさを感じるので大好きです

*2:まれに告知をオタクに任せるところも好きが溢れます

*3:経産省推奨アイドル

*4:人が美しいと感じる造形物が備えている比率の総称

iPodからiTunesを経由することなくUSBメモリのごとくファイルを出し入れしてみようという話

 この記事は某オタクたちの会議によって生み出された、このブログ史上初となる世のため人のためになる(怪)文書です。iTunesを介さずiPodから音楽ファイルを取り出す方法を皆さんにお伝えできればと思います。というかそれしか伝えません。ソレ以外の情報が欲しかったら他の記事を読んでください。

5/19追記: 特定のケースに対応しすぎだとのお声を頂いたので、文面など修正しました。

 

 

 

 

 

目次

 起:空のiTunesに曲が入ったiPodを同期しちゃダメ♡

 承:iPodから音楽データを取り出せねぇのかよ!

 転:わけわかんないままフリーソフトを使おう♪

 結:伝書鳩スマホ、そして警鐘。

 

 

起:空のiTunesに曲が入ったiPodを同期しちゃダメ♡

 先に申し上げておきますと、僕はただ単に幼稚園のときからパソコンを触っていた*1実践的なオタクであるだけで、専門的な知識を持っているわけではありません。ただお手伝いできそうな点がいくつかあったので、せっかくブログがあるのだから形として残してみようというのがこの記事の趣旨であります。間違いなどありましたら、どしどし訂正のコメント頂けるとありがたいです。

 

 さて早速本題に入りましょう。ひょんなことからパソコンがイカれちまって、今あるiPod touchとつながりのあった(同期先であった)iTunesを失ってしまった!というケースがあったとしましょう。この場合、焦って新規のパソコンにiTunesをインストールして何も考えずに同期をしてはいけません。

 iTunesiPodの同期をするということはiTunesにあるデータをiPodに転送するということではありません。iTunesの状態をiPodに強制的に反映させる、というのがiOS端末の同期らしいのです。つまり、iTunesに何も曲が入っていない状態で、曲がたくさんつまったiPodを同期すると、iTunesの空の状態をiPodに反映させることになるので、iPodは空になります。元々iPodのなかに入っていた曲のデータは全部消えます。正直に申し上げますと、この同期の挙動はホンマに頭がおかしい。遅いし。*2

 

 

承:iPodから音楽データを取り出せねぇのかよ!

 では上記のような元々使っていたPCが壊れたなど不慮の事故が起きた場合に、どのようにiPodから曲を取り出すのか。ここでフリーソフトの出番です。なんでストレージ扱いにしないんだとかいう難しい話は注釈で弁明します*3 。今回はiMazingというソフトを使おうと思います。有象無象あるフリーソフトの中でどうしてこれを選んだかというと、いろいろ使ってみた中でこれが一番わかりやすい画面表示だったからです。下のリンクからソフトをダウンロードしてください。

 

iMazing | Mac&PC用iPhone、iPad & iPod管理ソフトウェア。転送、コピー、音楽のバックアップ、メッセージ、ファイルなど

 

 

 

転:フリーソフトを使おう♪

 僕は普段GoogleChromeを使っていますが、おそらくはまだInternetExplore(以下IE)をお使いの方もいるかと思いますので、IEの画面で説明します。

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 リンクを開くとこのような画面がでてきます。緑色に光る「無料ダウンロード」のボタンをクリック。

 

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 すると2つ新しい表示が出てきます。上の青い登録ボタンは多くの情報弱者たちのメールボックスの容量を食らい付くしてきた悪魔*4ですが、エクソシストなど呼ぶと余計にややこしいので、無視して下の保存ボタンをクリック。

 

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 ダウンロードがしばらく進むと、「キャンセル」ボタンが変化して「フォルダを開くボタン」が出てくるので、それをクリック。

 

 

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 すると今ダウンロードしたファイルがあるはずなので、これをダブルクリック。ファイル名は「iMazing2forWindows.exe」です。

 

 

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 本当はやたらむやみに実行など押してはいけません。ダチョウ倶楽部ではない。兎にも角にも実行をクリック。

 

 

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 このあたりからテキトーに「次へ」を連打していってください。

 

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 「同意する(A)」にチェックを入れ「次へ」をクリック。

 

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 「次へ」をクルック

 

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 「次へ」をクルッポゥ、クルッ、クルッポ、ポッポ、クル、画面が変わっても何も考えずにひたすら「次へ」をクルッポゥです。

 

 

 

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 鳩になった気分で「次へ」を連打していると画面が変わります。しばらくするとストレッチパワーらしき緑のゲージ*5が溜まるので「完了」をクリック。

 

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 完了ボタンを押してしばらくするとこんな画面が出てくるので、このタイミングでお手持ちのiPodを接続。

 

 

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 接続が認識されるまで時間がかかりますが、認識されるとこのような画面になる。私はiPhoneを接続したので、左の枠にはiPhoneの文字が表示されています。曲を取り出すだけなのであればバックアップは不要なので、白い枠の左下に小さくある「後で」をクリック。

 

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 これは端末によって異なりますが、いつも音楽を聴く際に使っているアイコンがあると思うので、それをクリック。今回は真ん中の枠にある「ミュージック」をクリック。

 

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 すると今現在iPod内に入っている曲データが一覧で表示されるので、パソコンに転送したい曲データをクリックで選択して、選択された状態のまま右下の「フォルダにエクスポート」をクリック。

 

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 どこに転送したいか訊かれるので、「選択したフォルダへ」にチェックを入れ、右下の「次へ」をクリック。

 

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 どのフォルダに保存したいかを尋ねられるので、任意のフォルダを選択して「OK」をクリック。デスクトップを選択しておくと探すのに便利。

 

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 無視。「次へ」をクリック。

 

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 これも無視。「後で」をクリック。

 5/19追記:ちなみにこれは無料のトライアルバージョンなので、音楽データに関しては50個までしか転送できません。もしこのソフトを使ってそれ以上の数の音楽データを転送するのであれば、有料バージョンを購入するしかありません。ご了承ください。

 

 

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 しばらくするとファイルが転送されたことを知らせてくれる画面が出るので、先ほど設定したフォルダへデータを探しに行きます。デスクトップならデスクトップ画面にデータが生まれているはず。ちゃんと転送されているかどうか確かめるために、一度はデータを再生するのを強く推奨します。

 

 

 

 

 

結:伝書鳩スマホ、そして警鐘。

 どうでしたか。簡単でしたね。多分これが一番早いと思います。

 しかし最近の鳩というのはずいぶん人馴れしたものですね。僕が羽を広げて奇声を上げながら近寄っても彼らは微動だにしません。なんだコイツみたいな顔してきます。あちら様のほうがよっぽど理性的だと思うようにすらなりました。多分人間があげているエサのせいだと思います。アミノ酸が彼らに理性を与えているに違いありません。僕ですか?僕はふうりさんが推す牝馬リスグラシューのエサになりたいですね。G1優勝してもらえるようにがんばります。

 そもそも落ち着いて考えてみると、鳩は人にメッセージを伝えるために扱われてきたことがありました。帰巣本能を上手に使った伝書鳩システムです。こうした鳩に代わってとてつもない速度で相手にメッセージを送ってくれるのが、スマートフォンを筆頭としたモバイル端末です。鳩だって進化するんですから、このモバイル端末が進化しないはずがない。しかも、とんでもないスピードで。

 テクノロジーの進化は人々に情報格差をもたらしますが、一方でより多くのオタクが簡単に推しを探し出すことのできる世界になったとも言えます。運良くコミュニケーションを取れたりもしちゃうんです。その意味で我々オタクは、今もっともメディアリテラシーを試されている種族のひとつです。だから「本当はふうりさんのエサになりたい」だなんて、左右の手の指をすべてちょうちょ結びしてでもインターネットの海に放り投げてはいけないんです。わかりましたか。いいお勉強になりましたね。

 

 

 

 

 

 Fin.

 

 

 

 

 

 

*1:親父が「これからの時代はWindowsだ!」と高らかに家庭内宣言を行い英才的なキーボードタイピングレッスンによって育った僕は、こうして今立派なオタクになったのだ。

*2:昨今のクラウドサービスを利用していてとても便利だなと思うのは、同期の状況がどちらか一方に依存しないということですね。任意のデータだけを移動したり取り出したりできるってのは、案外すごいことだと僕は思います。ちなみに僕はこのiTunesの同期システムで何度もmp3データを失っています。

*3:iPodUSBメモリと同じようにストレージとして認識させて曲をドラッグ&ドロップで簡単に取り出せるようにできたらよかったのですが、iPod touchなど古いタイプの端末はこれがどうにも仕様としてできないような記載がありました。加えて、できたとしても隠しファイルの設定やリネームされていないむちゃくちゃな表記のデータから任意のオーディオデータをサルベージしないといけないらしいので、今回はフリーソフトを使うことを選択しました。

*4:僕は今日1000件以上ものトロイの木馬と戦いました

*5:そこに溜まってきただろう

ディアステ旅行記

 

0, はじめに

 これは、僕が先日ディアステージに初めて潜入したときの事をまとめた体験記です。

 

まずみなさんにご紹介差し上げたいのは、僕がリスペクトをしてやまない神崎かずとくんの初ディアステージ体験記post群です。次のリンクから一連のpostを見ることができます。

https://twitter.com/kanzaki0813/status/971082604408594433

 

 彼の作品が、その有り余るエネルギーと愛とによって生み出されていることは、語るまでもありません。僕はこのpost群を読み、これほど信頼できるオタクはいないと頷き続け、かれこれ1ヶ月が経とうとしています。人間はここまで赤べこ*1に近づけるものなのかと、僕自身驚いています。

 

 前置きが長くなりましたが、つまるところ僕も自分自身の気持ちを整理するために、ディアステージで見て・聞いて・感じたことをひとつの文章としてまとめようと思った次第です。僕はオタクとしての経験値やパーソナリティの比率が低い方なので、ディアステージでの体験は初めてまみれでした。だからこそ語弊や批判を恐れることなく、思ったことは全部書き留めようと思います。

 

 僕がふうりさんたちと出会うのは、目次でいうところの3からになります。1~2は、ディアステのカフェへと至るまでの些細な出来事になっているので、飛ばして読んでもらって構いません。ただし、もし仮にまだディアステージへ行ったことがない人が読むのであれば、ぜひ最初から読んでいただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

目次

1,はじめまして、ディアステージ

2,ステージと"ヲ"タク

3,地に足付かずの喫茶

4,ワンスアポンなドリーム

5,ツーチェキという実存

6, 待望と邂逅

7, またね、ディアステ

 

 

 

 

 

 

 

1,はじめまして、ディアステージ

 僕がディアステージに行こうと思った理由はいくつかありますが、先の神崎くんのpostに加えてアイカツの歌唱担当を推している皆さんからの評判が良かったことと、人生という限りある時間の中で僕がまだ若さを保っている間にふうりさんとツーチェキが撮りたかったこと、この2つが大きなモチベーションとして挙げられます。

 

 武道館後の感想戦も含めて、僕をアイカツの世界へと引き入れてくれた連番相方Bobくんと一緒に行きました。僕はふうりさん、Bobくんはれみさんを推していて*2「推しがいなければ行かない」という契りだったのですが、蓋を開けてみればふうりさん・れみさんだけでなくわかさんまでもが出勤という、もう我々が今日ここに来ることを予期していたかのような運命的状態だったので、「もうこれは行くしかない」と覚悟を決めてディアステージへと向かいました。

 ディアステージへと向かう道中、緊張のあまり、我々は「2001年宇宙の旅」に出てくるような原始状態のモチーフである猿であり、ディアステージはモノリスなのではないかという集団幻覚に苛まれましたが、人類の叡智であるGPSが無事に我々を導いてくださいました。

 極彩色で彩られたシャッターの横に、人ひとりが入れるぐらいの小さなガラス扉がありました。我々が覚束ない足取りでひょっこりひょこひょこと奥を覗き込みますと、どうでしょう、れみさんが1階のバーカウンターにいるのを視認できてしまいました。ここで緊張と不安が入り混じった感情のマグマが、沸々と湧き上がってきて、局地的に噴火警報レベル3というところまで来ました。気象庁も相当に焦ったことでしょう。

 我々は肉体の天変地異を収めるべく神に祈りを捧げ始め、30秒ほど入り口周辺をのたうち回ったあと、兎にも角にも受付の人にシステムについて聞いてみようということで、現実と夢との境界線を跨ぐことにしたのです。

 受付の方に早速、ここに来るのが初めてだということを伝えると、受付の方は感謝の気持ちと共にディアステージのシステムについて優しく教えてくれました。ここに来た理由を尋ねられたので、咄嗟に「アイカツの歌唱担当に会えるから」と答えてしまいました。嘘をついてもしょうがないのですが、アイカツについて語ることは憚られるのではと思っていたので、ディアガ*3にあっさり「私もアイカツがきっかけだよー」なんて言われてしまったのは正直意外でして、少し心の荷を下ろせた気がしました。恐らく我々のような猿……原始アイカツ人類を指すのであって、自己保持の為のアイデンティティ兼自己表現を成す為に暴れまわる免罪符という意味でのオタク=カテゴリーを意味しているのではない……が既に多数ここを訪れていたのでしょう。それがリップサービスだったとしても、僕はその一言で落ち着きを得ることができたので、受付のディアガの人には感謝しています。お名前を伺うのを忘れていたのは僕の失態でしょう*4

 入場料とドリンク代を含んだ千円札を渡して、ドリンクチケット代わりの缶バッジを受け取ると、2階3階に行くには会員登録が必要との案内を受けたので、最新鋭のタッチパネル付き文鎮*5で会員登録を頑張って済ませました。

 さて、れみさんとお話をしよう、とおもったその時でした。フロアが暗転をして、舞台にスポットが当てられたかと思ったら、次の瞬間にはどこからともなくディアガが召喚されていました。

 

 

 

 

 

2,ステージと"ヲ"タク

 我々が慌てて端に寄ると、怖くないからもっと奥に入りなさいとPAの方が促してくれました。ディアガの次に僕の目へと入ってきたのは、どこかで見覚えのある呪文が書かれた張り紙類や、戦闘準備を開始するオタクたちでした。ステージが始まってまず驚いたのは、距離の近さ。演者の身近さを錯覚させるには十分な距離感でした。歌は皆さんお上手でしたが、そこが問題にならないことはすぐにわかりました。ステージが始まるとオタクたちは謎の合図と共に詠唱を開始、演者の動きに合わせて身を唸らせ始めたからです。これがいわゆるMIXでした。

 ステージ中央から前方にいるオタクたちはほぼ全員が動きを合わせていて、謎に満ちた詠唱も完璧でした。たぶん前頭指揮している人がいて、それに合わせているのだと思いました。指揮はいわゆるTO的ポジションの人なのかなと想像します。あまりの統率感に、日本の義務教育がなす技だ、とゆとり世代の僕は思いました。

 しばらくステージを見て唖然としていると、僕はあることに気がつきました。訳が分からないと感じていた「絶叫」がここでは文化として根付いている、ということです。僕とBobくんは、目の前で跋扈するオタクたちを見て、ここが本場か……と思わず言葉を漏らしました。これが本来のオタク的姿であるとも思いました。いわゆる"ヲ"タクという表記によって奇怪とも取れる様子が揶揄されてきた勇姿がそこにありました。

 念のために記しますが、僕はこの文化が外に持ち出されたときの正当性を示したいわけではありません。「郷に入らば郷に従え」とはよく言ったもので、あのディアステージのフロアにいた瞬間は「ヲタ芸」をやる意味が見出せた、この場所には文化的背景があるのだということを、身を以て知れたまでです。棒立ちすることがディアステージの皆さんに失礼なのではという焦りすら感じました。それだけの集合的沸騰*6を肌で受け止めることができたのです。

 

 

 

 

 

3,地に足付かずの喫茶

 ライブを見終えて、さぁれみさんとお話しようと思ったのですが、囲いといいますか、常連の方々の壁が相当に厚かったので、ひとまず2階の様子を見に行くことにしました。

 もうここからは感情のジェットコースターでした。2階へ移動すると、入り口にふつーーーにふうりさんがいて、全く訳がわかりませんでした。眼前で給仕しているのはつい先日武道館で歌って踊っていたアイドルなのか?我々は今幻想の中にいるのでは?そんなことを考える暇すら与えられません、次の瞬間には階段からわかさんが登場して、お声をかけてくださいました。僕はその時ふうりさんのツインテールがふわふわと動く様子を見てダメになっていたので、いくつかの人間的機能が失われている最中でしたが、これまで生きてきた25年間の蓄積から、言語を話すこと自体は脊髄反射的に可能だったので、わかさんとコミュニケーションを取ることができました。何を話したかは記憶にございません。総理大臣も顔負けの答弁です。

 混乱のまま他のディアガの方々に案内され、カフェ内奥のテーブルへと向かいました。わかさんやふうりさんを含め、ディアガの人たちはせわしなく動いていて、常連さん(?)たちと楽しそうにおしゃべりしていました。*7しばらくテーブルで待機していると、れたすさんという方が店内のルールについて説明をしてくれました。人としてごく当たり前のことがルールとして挙げられていましたが、これを語るれたすさんの語気がなかなかに強くて印象に残っています。ディアステージの雰囲気にのまれ、理性を失う方々が多数いるようだということがわかりました。 

 れたすさんの案内である程度SAN値を上げることができた我々は、アルコールをもって今日この日を祝うことにしました。幸いだったのが、Bobくんは限界が近づけば近づくほどに語彙力が増えるタイプの人間だったので、僕は彼の様子を見てゲラゲラ笑うことによりなんとか冷静さを保っていました。ふうりさんがカクテルを作っているという事実だけで僕は脳みそをシェイクされているので、なんらかの方法で正気をキープする必要があったのです。

 ディアガの皆さんは、スタイルが特徴的でした。とりわけわかさんは、びっくりするほど細身でした。我々も自身の細さによって多くの女性たち、ひいては全米から恐れ慄かれたスレンダーマンでしたが、比にならないレベルでした。これまで見てきたどんな人たちよりも細かった。どこからあの力強い歌声が出ているのかまったく理解できません。ふうりさんはというと、予想以上に小さくて、噂通り塩っぽい対応でした。だけどそれがいいんだよね。ふうりさんは自分自身の為に働いてるって感じがするじゃん?僕みたいな奴がふうりさんの時間を割いてしまってごめん、というマゾヒズムすら懐妊してしまう。長くなりそうなので要約しますと、ふうりさんは可愛かった

 僕がアルコールで闘争心を刺激された膀胱の反乱によってトイレへ行っている間に、りすこさんがお洒落な紫色の洋服を着て登場しており、テーブルへ戻ったときにはBobくんがエモ性の言語障害と痙攣を引き起こしていました。ときたま、れみさんが1階から2階へと移動してくるので、その度に我々の視線が乱数によって決定されているかのような非人間的動きになっていました。何はともあれ、そんな風にさらっと歌唱担当が現れてしまうのがここ、ディアステージなのです

 

 

 

 

4,ワンスアポンなドリーム

 軽く様子を見て帰るつもりでしたが、この日は幸か不幸か他の方のお誕生日をお祝いするムーブメントがあったために、ある重大な事実に気づいてしまったのです。

 

Bobくんは今月誕生日を迎える、ということでした。

 

 やったじゃあないか。しかしどうやって誕生日を祝ってもらえばよいのか。メニューを舐めるように見回すと、ありました、バースデーメニュー。メニュー内容はこうでした。バースデープレート、好きなディアガに作ってもらうカクテル、囲いチェキ。

 

 

 

囲いチェキ。

 

 

 

 

 

囲いチェキ。

 

 

 

 

 

囲いチェキ。

 

 

 

 

 

 我々人類はこの甘美な響きを、子宮から火葬場まで、反芻していくのでしょうか。御察しの通り、このとき我々の精神状態は非常に不安定*8で、金銭感覚をも失っていましたから、これを頼まない手はありませんでした。僕はツーチェキ付きのディア飯セットを頼んで、Bobくんにはバースデーメニューをせっかくなのでプレゼントすることにしました。Bobくんがこれまで見たことのないレベルで狼狽し、しきりに「明日が来ない」ことを心配していたのが記憶に残っています。受胎告知だとかなんとかも言っていました

  Bobくんは元々星宮いちごちゃんのファンだったので、カクテルはわかさんに作ってもらうことにしました。僕はふうりさんにお願いをしました。オーダー後、突如わかさんがこちらのテーブルへと向かってくるではありませんか。もう幼児退行するしかありません!オーダー幼児退行!オギャッオギャッ!危険信号フルスロットル!こちらちえぴっぴ、心的カオス抑制できず臨界!幼児変形!!!わかさんはカクテルのオーダーを伺いにきただけでした。当たり前ですね。

 なんとまぁ、好きな色を訊いてくれてそれに合わせてカクテルを作ってくれるということでした。Bobくんがピンクを選択した結果、わかさんはいちごミルク的なカクテルを作ってくれました。僕らがここに来るのが初めてで、それでいてアイカツのファンガイであることは、入り口でお会いした時に話していたようなので、もしかすると敢えていちごをチョイスして気をつかってくれたのかもしれません。

 わかさんはその後も何度かテーブルに来てくれて、お話をしてくれました。武道館で立っていた方々が目の前にいること、今とてつもない緊張に苛まれていること、僕がアイカツを見てまだ1年しか経っていないことをわかさんに伝えました。わかさんはとても優しいお方でした。それぞれの返答として「武道館に私たちを連れて行ってくれたのはみんなのおかげ、ありがとうだよ」とか「みんなここにいるよ~」とか「費やしてきた時間は問題じゃない」とか、もうとにかく有難いお言葉ばかりでした。当時は緊張して言葉を噛みしめるどころではありませんでしたが、今振り返ると、これはとんでもないことですよ。書いているだけで泣きそうになります。

 

 

 

 そうこうしているうちに、囲いチェキの時間がやってきました。Bobくんが呼ばれて、入り口の方へと消えていったと思ったら、次の瞬間にはれみさんがチェキのカメラを持って登場し、彼がそのまま被写体のうちに閉じ込められ21世紀の兵馬俑になってしまわないか心配でしたが、シャッターが切られると彼はすぐに戻ってきました。興奮を隠しきれていませんでした。目がマジでした。後で話を聞いてみると、わかさんふうりさんを両手に、れみさんがチェキを撮るという、冬の大三角形を感じていたとのことでした。わかります。わかるか?

 人生初のチェキで笑えているかどうかというのは、意外と重要な問題だと思います。Bobくんは笑えなかったと言っていましたが、チェキに写るその微笑みを僕は忘れることはないでしょう。彼のプレミアムレアなチェキは、物理学の本に挟み込まれ、その本の情報量を増大させていました。

 彼の元にバースデープレートを届けてくれたのも、わかさんでした。至れり尽くせりという感じです。カクテルについても甘すぎなかったかどうかを確認してくれて、気遣いにもう頭が上がりません。Bobくんは(緊張のあまり)味がわからないといいながら、パンケーキを頬張っていました。つくづく良い奴だと思います。

 

 

 

 ところで、お仕事というのは大変です。とりわけ現場レベルの営業というのは、自分自身を売り込むことに等しい。アイカツスターズ で言うところの、セルフプロデュースを強いられます。その精神的摩耗は、営業を担当したことのある者であれば共感できるのではないでしょうか。わかさんは入り口から出口までとにかく気を遣ってくださった印象でした。入った時は「最初で最後だ」という気概でしたが、出る時は「また来ます」なんていう言葉が口を突いて出てきてしまうほどに、優しさを感じました。これはディアガの皆さんとお話をして思ったことのひとつですが、名前を覚えてもらうということは「記憶に残してもいい」と思われることに等しいその一期一会にどれだけの思いやりやエンターテイメントを詰め込めるのかが勝負になるのです。実は僕も営業の人間なので、ディアガの皆さんに対しては非常に感銘を受けました。お勉強になります。

 さて、その後もれたすさんとお話*9をしながら大変楽しい時間を過ごしました。ところでまだ僕のツーチェキは撮影されていません。僕がふうりさんのツーチェキをオーダーしてから1時間半が経とうとしていました(塩)

 

 

 

 

 

5,ツーチェキという実存

 実はBobくんがバースデーメニューを堪能している間に、ふうりさんが颯爽と現れてカクテルを置いてくれていました。接近されたとき、あまりのスピード感に世界の描写速度が追い付かず、処理落ちで僕の身体のポリゴンがややズレていたと思います。何かお話できるかと思ったのですが、即座に踵を返していってしまったので、特に重要なコンタクトがあるわけではありませんでした。後で振り返って気づいたのですが、好きな色も聞かれていませんでした。塩を感じます。しかしながら実際にカクテルを作っている姿を長時間拝見することができたので、その味を全身の内臓が喜びをもって享受していました。ふうりさんは2回目のステージに登場していたので、僕は階を移動してこれを見ました。またしても相当の熱気と一体感を浴びて2階へ戻ったら、いよいよツーチェキの時間でした。

 

 結果として僕は「人間長い間待たされた後に究極の褒美を与えられると奴隷に近い精神構造になる」ということを心の臓から理解しました。ただの階段の踊り場が、あれほど眩い空間になるとは思っていませんでした。目と鼻の先にふうりさんがいて、あまりの気恥ずかしさに御顔をほとんど拝見できませんでした。この時起こった詳しいやり取りは僕のpostを引用することにします。 

 

 

 もう訳がわかりませんでした。ふうりさんの指先は冷たかった。きっとカクテルをずっと作っていたからだと思います。お勤めご苦労様です。お忙しい中僕のような下衆とチェキを撮っていただいてありがとうございます。などということを考える余裕すらありませんでした。今思い出すだけでもありとあらゆる感情がどっと心の中に流れ込んできて、身体が蒼白く発光し、周辺地域を汚染してしまいます

 チェキを受け取る直前に「遅くなってごめんね」と言われたような記憶がありますが、捏造かもわかりません。そんなことないです、こちらこそ申し訳ない、本当にありがとうございますと言いながら深く頭を下げて、両手でチェキを受け取った記憶もありますが、捏造かもわかりません。しかしながら、焦らされに焦らされて感度が倍になるエロ漫画理論、これは確かなことらしい。ここでチェキを受け取った直後の様子を綴った僕のpostを見てみましょう。

 

 

 実際僕はチェキを受け取ってから肺呼吸の仕方を忘れていましたBobくんが見せた迫真の様子を僕はナメていました。ツーチェキなんて軽く撮っておしまいだろうと正直思っていたからです。テーブルに着くと僕はゆっくりと椅子に腰掛け、肘をつき、しばらく頭を抱えていました。周りの目を気にする余裕はありませんでした。とんでもないことが起きたことだけは理解できました。僕もチェキに閉じ込めた自分の笑顔を確認していました。営業で培われた笑顔作成プログラムにこれほどまで感謝したことは後にも先にもないでしょう。

 そのあと何度も、幾度となく、チェキを見直しました。しかしここで立ち止まってみましょう。人がチェキにここまで思い入れを持つのはなぜか。僕は次のように考えます。チェキが実際に存在しているからではないか。僕の記憶は捏造かもしれませんが、チェキは間違いなく確かです。仮に記憶が定かであるとしたら、チェキによって「ふうりさんとハートを作ってツーショットを撮った」という事実はより強固に保証されます。ところで皆さんはアイカツ!を全話見たことがありますか。アイカツ177話から178話によって、これまで通ってきた全てのストーリーが照らされ、経験してきたことすべてが無駄ではなかったことが証明されるその感動ときたらありません。熱量の違いはあれど、ほんのわずかな時間でこうした奇跡が味わえるのが、推しとのツーチェキなのです。今日ディアステに来てよかった。心からそう思いました。

 

 

 

 

 

6, 待望と邂逅

 それぞれのミッションを終えた我々は、ついにれみさんと会いにいく決意を固めます。そもそもBobくんはれみさん推しなので、これもまだメインイベントの範疇でした。

 時間が経てども、常連の巨人たちが築く壁は高く、カウンター近くをソワソワするしかありませんでした。が、しばらくすると、れみさんの方から声をかけてくれました。何か注文しますか、と。僕はBobくんの背中をそっと叩き、行ってこいと送り出しました。彼とれみさんが何を話していたのかを耳をそばだてて聞くのはいささか失礼かと思い、僕は少し離れてその様子を見ていました。チェキのシステムについて聞いていたのではないかと思います。直後に彼は、なけなしの500円を叩いて、れみさんのチェキを購入していました。僕はこのタイミングでれみさんに挨拶をしました。彼が誕生月であることを告げるためでした。この時お話しして改めて気づいたのですが、れみさんはとてもまっすぐな目をしていました*10。僕は人の目を見て話す癖を自ら手に入れた人間ですが、そういう人の目ではなかったのを覚えています。初めから意志を持って瞳を見つめている人の目でした。僕も負けじと目を見て話しましたが、負けじとしている時点で何かがおかしいことは明白です。この時点で僕はれみさんの虜になりかけていました。思えば、真っ直ぐ人の目をみて話をしてくれたのはれみさんだけではありませんでした。カフェにいたすべてのディアガが、こちらの目を見てお話をしてくれた印象があります。これもまた、人の承認を得るひとつの手段なのかもしれません。

 しかし、そうやって人の一挙一動を営業活動として片付けることに意味があるとは僕も思っていません。正直言うと、天の邪鬼ではありますが、僕がこれまでの章で行ってきたものと同じような冷静な分析は実際セコいとすら思う。だからここで僕は声高に言います。

 

目をみてお話してくれて、めっっっっっっっっっちゃ嬉しい!!!!!!!!!!!好き!!!!!!!!!!!!!!!

 

 ところでれみさんは、チェキに名前を添えるためにBobくんの名前を尋ねていました。そのすぐ後に僕の名前も尋ねられました。Bobとちえぴっぴというマトモではない名前で登録したのを互いにちょっぴり後悔しましたが、先述の通り僕は頭が恋に近い病気を患ってしまいバカになっていたので、「あっ、ちえぴっぴって書いてもらっていいですか」などという愚言を犯してしまいました。あろうことか人の誕生日を祝うために人の推しが書いているチェキサインに、赤の他人と言っても差し支えない男の名前を添えようとしたのです。すぐさまれみさんのツッコミが入り、若干叱られました。僕はテンパっているとよく人の話を聞かないで思い込みで話を進めてしまう悪いクセがあるので、この経験を機に治していきたいと思います。大反省です。しばらくして、Bobくんは無事、れみさんからチェキを受け取りました。何が書いてあったかは、やっぱり訊いていません。大切にしてもらえればと思います。

 その後れみさんには出勤のシステムと、次にお会いできるタイミングを伺って、僕らはその場を後にしました。

 

 

 

 

 

7, またね、ディアステ

 結局、3時間近くディアステの中にいました。こういう空間についてはとことん無知でありましたが、当初想定していた以上に僕らは楽しめたと思います。「最初で最後」と意気込んで入ったものの、「また行こう」だなんて予定を立てようとしている自分たちがいるのですから、驚きです。

 ディアステに来てから武道館を見ていたらどうだったのだろう、とも思いました。なおさらアイカツ武道館の円盤を買いたくなりました。

  

 

 

 ディアステージを離れた後、僕はとても優しい気持ちになっていました。Bobくんと別れた後も、電車に乗り込んできた家族連れに席を譲り、大切な人へのLINEを丁寧に返そうと努めたりしました。自然とそういうことができました。

 れみさんからTwitterにリプライを、と言われていたので、その日のうちに謝罪と感謝を告げました。蛇足かもしれませんが、みなさんはれみさんの個人タイムライン上に固定されているツイートをご覧になったことはありますか。

 

 

それなら、僕は買おう、と思った。買って、貰った力を練り上げて、自分の糧にしようと思った。

 これ以上臭い台詞を吐く必要はないでしょう。これまで見てきた通り、僕はディアステージでの経験を通して、自分自身の中にあった偏見やコミュニケーションの取り方を、改めて見つめなおすことになりました。ディアステへの訪問は紛れもなく貴重な体験だったと思います。

 もちろん全ての人にこうした体験を与える空間ではないことは、重々承知しています。しかしながら、ディアステには平日であるにも関わらず、様々な人々が集っていました。今存続しているすべてのものは、必ず誰かにとって意味があるもののはずですし、ディアステもまた誰かにとって大切な場所になっているに違いありません。意味を享受できる人間だったという点において、僕は幸せでしょう。そんな幸せ者の挨拶は、決まってこういうものになるらしい。

 

 

 

 

 

またね、ディアステ。

 

 

 

 

 

謝辞

・歌唱担当を推す皆様と、我先にとディアステージへ特攻していったkkt女児の皆様

 ゴリ押しとも似つかない形で勢力を伸ばしつつある歌唱担当の沼に住む河童の皆様。いかがお過ごしでしょうか。僕もこうして、皆さんのお気持ちに近づけたのではないかと思うと、嬉しく思います。僕の座右の銘は「百聞は一見にしかず」です。やはり何事も経験でしょう。しかしそうは言いつつも、何事をも経験する勇気は、皆様なしでは得られることがなかった。ここに御礼申し上げます。ありがとう。

 

・Bobくん

 君があの日、ディアステに行くという選択肢を提示してくれなければ、僕は最初の訪問でツーチェキを撮るところまで至らなかったかもしれません。人の誕生日を覚えないというのは損なのだということもわかりました。現に君の誕生日を知らなければ、僕らはあの日素敵な時間を過ごせなかったかもしれない。ディアステ初訪問が君と一緒で良かった。また行こう、必ずね。

*1:

youtu.be

 

*2:僕はキャラクターで言うとあおい姐さんと小春ちゃんを、Bobくんはいちごちゃん・おとめちゃんを特に推していました

*3:ディアステージにいるスタッフ兼アイドルたちの総称らしい

*4:この記事を読んでくださった方が、この日の受付がどなたかだったかを教えてくれました。石原あこさんという方でした。Twitterのアカウントを通して御礼を言いました。教えてくださった方、ありがとうございました。

*5:ジョブズがいかに偉大だったかを、手元のiPhoneが文鎮に近づいていく過程でよく理解できたでしょう。ところで君の文鎮は何ていうの?あぁ、Androidね。さぞかし便利だろうよ。

*6:この用語は、日本におけるサブカルチャーの小さな熱狂を理解する上で、とても重要なタームであるように感じます。気になる人はデュルケームの名著『宗教生活の原初形態』を読むことをオススメします。http://amzn.asia/3gSjuve

*7:僕の中でわずかに悔しいという思いが湧いたことを否定しません。

*8:躁と鬱を毎秒単位で繰り返していました。

*9:アイカツの推しの原点は誰かと問われて、それぞれあおいちゃんといちごちゃんだという話をしました。原点、僕らの原点ですって話をしたら、「こいつクソ原点いうやんけ」って煽られました。れたすさんにスターズをまだ見ていないなら小春ちゃんを推してほしいと懇願したら、一気に引かれたのを覚えています。初対面の人に僕の有り余る小春ちゃんへの愛を語るのはマズいなと改めて感じました。

*10:声も可愛かったです